日本最大のニュースポータルサイト「Yahoo!ニュース」と、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)が、共同プロジェクトを始動した。新設した「Yahoo!ニュース ドキュメンタリー」の第1弾として、『ザ・ノンフィクション』の話題作や新作の映像を約10分に編集し、担当ディレクターの取材後記などのテキスト記事とともに配信していく。

同じドキュメンタリーというジャンルを手がけながらも、互いの文化が違うと感じた両者によるコラボレーションには、どのような狙いがあるのか。そして、なぜ『ザ・ノンフィクション』からバズる作品が放たれ続けるのか。「Yahoo!ニュース ドキュメンタリー」の金川雄策チーフ・プロデューサーと、『ザ・ノンフィクション』の西村陽次郎チーフプロデューサーの対談を通して、ドキュメンタリーの未来を探っていく――。

  • 「Yahoo!ニュース ドキュメンタリー」の金川雄策チーフ・プロデューサー(左)と、『ザ・ノンフィクション』の西村陽次郎チーフプロデューサー

    「Yahoo!ニュース ドキュメンタリー」の金川雄策チーフ・プロデューサー(左)と、『ザ・ノンフィクション』の西村陽次郎チーフプロデューサー

フジテレビに感じた異常なほどの熱い思い

――まずは、今回タッグを組むことになった経緯から教えてください。

金川:「Yahoo!ニュースドキュメンタリー」を立ち上げる準備をする中で、共通の知人にフジテレビの濱(潤 情報制作局情報制作センター室長)さんや宮下(佐紀子 同局情報企画開発部長)さんをご紹介いただいて、何か一緒にできないかとお付き合いを始めさせていただいたんです。そこで驚いたのが、皆さんの異常なほどのドキュメンタリーへの熱い思いでした。僕のイメージでは、言葉を選ばずに言うと、テレビ局の中でドキュメンタリーというのが日陰にあると勝手に思っていたので、ドキュメンタリーへの熱い思いを持っている方々が中心にいるからこそ、今の『ザ・ノンフィクション』があるんだと感じました。

 国際共同制作を目指すピッチイベント「Tokyo Docs」で、日本のドキュメンタリーを海外に紹介する場所を一緒に作らせていただきながら、 「Yahoo!ニュースドキュメンタリー」の第1弾をぜひフジテレビさんと一緒にやってみたいとお声がけさせていただいたら、その番組として『ザ・ノンフィクション』を挙げていただき、西村さんと一緒にお仕事をするようになりました。

――『ザ・ノンフィクション』という番組名が挙がってきたときは、どんな印象でしたか?

金川:個人的にも大好きな番組で、弊社にも「毎週見ているよ」というファンが大勢いるんです。そんな番組と第一歩を踏めるなんて、こんなにありがたいことはないので、ぜひぜひという感じで話が進んでいきました。

――金川さんの中で最近の『ザ・ノンフィクション』のお気に入り回は何ですか?

金川:この前の結婚相談所で婚活に挑む人たちの回(『結婚したい彼と彼女の場合 ~令和の婚活漂流記2024~』2月4日・11日放送)は、食い入るように見てしまいました(笑)。よくぞあそこまで自分のことをさらけ出してくれたと思うのと同時に、私は男性たちの不器用な感じに共感して応援する気持ちで見ていたんです。あれだけ頑張っているのだから、本人に何かしらの変化は絶対あるだろうし、いい方向に向かってくれていると願いたいです。なので、婚活シリーズはぜひラインナップに加えていただきたいですね。

――婚活シリーズは前作も非常に反響の大きかった回ですね。ただ、全国を対象にしているネットメディアに対し、『ザ・ノンフィクション』は関東ローカルの番組です。そこは懸念点にならなかったのでしょうか。

金川:他局のテレビ朝日さんの『アメトーーク!』で特集されるくらいの認知度がありますし、ローカル放送だからこそ、ここが初めて見られる場所になると思うので、そういう意味ですごく価値があるのではないかと思っています。

――西村さんは、今回の話を受けた際の感触はいかがでしたか?

西村:10月で30年目を迎える長寿番組だからこそ、常に新しい仕掛けを考えてないと、番組って簡単に停滞してしまうんです。決して恵まれた制作環境ではないなか、どう盛り上げていくかを考えると、やっぱり新しい地平に開拓していかなきゃいけないと思っています。

 僕自身がチーフプロデューサーになってもうすぐ丸5年で、ネット上で新しいことに挑戦すると、番組にいい形で跳ね返ってくるということは、今までの取り組みで分かっていたので、Yahoo!ニュースさんという大きなニュースメディアと組めば、また新しいことができると思い「絶対やりたいです」ということで実現しました。