dynabook X CHANGERでバッテリーが交換できると聞いて「バッテリーパックを交換しながら、屋外で長時間駆動が可能になるじゃーん」と期待する、モバイルノートPCベテランユーザーのなんと多いことか。

ただ、現代のノートPC、というかモバイルデバイスでバッテリーを交換できるメリットは、「長期間使用してバッテリーが劣化したデバイスでも、バッテリーパックを新品に交換することで使い続けられる」ことにある。これは、スマートフォンなどの例を見れば、多くの人に理解してもらえるだろう。

  • バッテリーを交換するにはまず底面のネジを2つ外す

  • カバーを外したら

  • バッテリーパックを固定するロックを解除する

  • バッテリーパックそのものは薄い

バッテリーの交換機構はいつ役に立つ?

スマートフォンを長期間使っているうちに、バッテリー駆動時間がどんどん短くなって、最終的にモバイルバッテリーが手放せなくなるケースは少なくない。

スマートフォンはバッテリーが持たなくなった時点で、新しい製品に乗り換えることも“比較的”容易だ(とはいっても最近は価格が高くてなかなかすぐに新しいものを購入するわけにもいかないが)。

しかしモバイルノートPCとなると価格が高いこともあってなかなかそうもいかない。特に同時に大量のノートPCを導入することが多い企業の場合、バッテリーの劣化がほぼ同時期に来てしまうため、買い換えコストは膨大になる。

このような場合、バッテリーパックを交換できるノートPCならコストを抑えてバッテリー駆動時間を戻すことが可能だ。先に紹介したインタビュー記事でも、Dynabook社はdynabook X CHANGERでバッテリーパックを交換できる理由の大きな1つとして、劣化したバッテリーを交換して、所有しているPCの寿命を延命することにあると答えている。

なお、バッテリーパックの交換作業ではドライバーが必要になる。ドライバーで底面にある2つのネジを解除してカバーを外してから、バッテリーパックを固定しているロックを解除する。ドライバーが必要になる時点で、日々の屋外作業中で予備バッテリーに交換する運用は想定していないと言えるだろう。

  • バッテリーパックの重さは実測で246gだった

  • バッテリーパックを外した状態で本体の重さを実測すると671g

余談だが、“バッテリーパックを交換して屋外で長時間作業できる”という希望に応えた典型的な例が、“昔々”日本IBMの大和研究所が開発してライオスシステム(日本IBMとリコーの合弁会社。いまはもうない)に製造を任せた「チャンドラ」(これはあくまでも開発コードネーム)という“サブ”ノートPCだ。

チャンドラのバッテリーで偉かったのは、バッテリーパックをボディの左右に2個搭載して、1つのバッテリーが切れてももう1つのバッテリーで駆動しつつ交換できる“だけ”でなく(いやこれだけでも当時としては画期的なだけでなく、いまに至るまで同様のことができるノートPCはめっちゃ稀)、バッテリーパックとして当時ホームビデオ用に普及していて家電量販店ならどこでも購入できた汎用バッテリーを採用していたところだった(入手が容易なだけでなくバッテリーの性能向上に関わる開発をバッテリー専業メーカーに任せることができた)。