日本テレビ系ドキュメントバラエティ特番『はじめてのおつかい』が、3日(18:00~) 放送の『新春 小さな大冒険3時間スペシャル!』で34年目を迎える。時代を経て、町や買い物のシステムは進化したが、大切な人のために冒険に挑む子どもたちの勇気は変わらず、そこで起こる思いがけないドラマが、見守る大人たちを感動させる長寿シリーズに。その人気は、Netflixで配信されたことで世界にも広がっている。
長年にわたり“はじめてのおつかい”を撮影してきた熟練のチームは、どんな思いで家族の挑戦を記録しているのか。演出を務める日本テレビの徳永清孝氏に、番組に受け継がれる精神や撮影の裏側などを聞いた――。
“お子さん実験番組”ではない
“はじめてのおつかい”の撮影に向けて最初に行うのは、おつかいに行く子どものことについて、両親など家族への取材。そこで最も重視するのは、“本人が本当におつかいをやりたいと思っているか”という点だ。
「親御さんからしたら、“うちの子がどこまでできるかを知りたい”という欲求もあると思うんですけど、この番組は成長を検証する“お子さん実験番組”ではないというのが、大きな裏テーマとしてあるんです。“はじめてのおつかい”の日を、その子にとって、お母さんとお父さんにとって、いい1日にしてあげたい。その1日にカメラがついて行っているという精神なので、本当に自分がおつかいに行きたいと言ってくれるお子さんや、おつかいに行かせて良かったと思ってくれる親御さんと出会いたい。そこで、“おつかいに出したいご家族大募集”みたいに告知してしまうと、ベースにある精神がブレてしまうから、スタッフがリサーチして挑戦してくれるご家族を探しています」(徳永氏、以下同)
こうして挑戦する家族が決まると、担当スタッフが密に連絡を取り合い、“おつかいに行かなければいけない理由”を決めていく。
「分かりやすい例は、お父さんの誕生日にプレゼントを買いに行くというストーリーなんですけど、撮影予定日とピンポイントに合うことはなかなかないので、大体は“今夜のカレーのジャガイモがない”といった話になりますね。そこで、その家族にとって“ジャガイモが入ってないとカレーじゃない”と言い切れるくらい、ジャガイモが大事なのかというところも確認します」と、リアリティを重視する。
そこから、いつもジャガイモを買う店が、子ども1人で行ける場所なのかをヒアリングし、今度はスタッフがロケハンしてシミュレーション。そしていよいよ、撮影当日を迎える。
家族と最初にコンタクトを取ってから撮影まで、数カ月かけて入念に準備を進めるが、「お子さん本人を入れてリハーサルができるわけじゃないので、本当に想像でしか準備できないんです。ご家族とは本当に密に会話をするのですが、本番当日も“今日はすぐ出発できるかどうか心配です”くらいしか情報がない状態で臨みます」という緊張感の中で撮影が始まる。