◆消費電力測定(グラフ82~88)
最後に消費電力比較を。今回はF1 2023の2K(グラフ82)、Hitman 3 2K(グラフ83)、Metro Exodus 2K(グラフ84)、3DMark SpeedWay(グラフ85)、Shadow of the Tomb Raider 2K(グラフ86)の5つについて消費電力変動を測定、それぞれの平均値(グラフ87)、及び待機状態との差(グラフ88)をまとめてみた。
結果を見ると、Radeon RX 7800 XTはRadeon RX 6800 XT比で50Wほど消費電力の削減に成功している。面白いのはRadeon RX 7700 XTで、殆どRadeon RX 7800 XTと消費電力が変わらない。そしてGeForce RTX 4070はそこから更に30~50W低い格好だ。勿論一番低いのはRadeon RX 7600であるが、これは描画性能の低さとのバーターなので当然ではある。
Radeon RX 7700 XT/7800 XTはGCDがTSMCのN5、MCDがTSMCのN6で、全部TSMCのN7だったRadeon RX 6800 XTに比べれば省電力なのは想定通りではあるが、厳密に言えば動作周波数はやや引きあがっているし、シェーダ数(Radeon RX 6800 XTは5120個、Radeon RX 7700 XT/7800 XTは3520/3840だが、演算性能が倍になっている事を考えると実質7040/7680個相当)を考えると、よく50W削減が実現したな、という気もする。
考察
ということで駆け足でRadeon RX 7700 XTとRadeon RX 7800 XTの性能を評価してみた。AMDの示したこのスライドと見比べてみると、Radeon RX 7800 XTの性能はそこまでGeForce RTX 4070より高くないという気はする。ただこのスライドだと、F1 23はむしろGeForce RTX 4070より劣る筈なのが、実際には僅かながらGeForce RTX 4070を上回るなど健闘を見せており、トータルとして競争力そのものはちゃんとあると思う。
問題は消費電力と価格だ。性能/消費電力比ではGeForce RTX 4070の方に軍配が上がるのはまぁ致し方ない。なので後は価格での勝負である。定価ベースで言えばGeForce RTX 4070が$599、Radeon RX 7800 XTが$499だからこれは圧倒的にRadeon RX 7800 XTが上である。問題は日本での価格であろう。Amazon Japanの原稿執筆時点のGeForce RTX 4070の最安値は\87,859であることを考えると、7万円台前半に収まる価格であれば、競争力はありそうだ。
一方Radeon RX 7700 XTはちょっと微妙である。消費電力は変わらず、にも関わらずRadeon RX 7800 XTとの性能差は明確に存在する。AMDはGeForce RTX 4060 Ti 16GBとの比較を示しており、そのGeForce RTX 4060 Ti 16GBの最安値はやはり執筆時点で\78,586。もしRadeon RX 7700 XTが6万円台前半で出てくれればそれなりに競争力はありそうである。ただ筆者がどっちを買う、と言われたら(もし7万円台前半で入手できるなら)Radeon RX 7800 XTの方がお買い得に思える。
ということで後は日本での発売価格が明らかになるのを待つだけである。