番組のフォーマット自体に加え、出演者へのオファーの仕方、制作の進め方など、「地上波では絶対できなかったと思います」という今作。橋本氏は、渡部建を一般人の結婚披露宴にサプライズ登場させたり、山本裕典がホストになっていくら稼げるかを検証したりといった企画を展開する『愛のハイエナ』(ABEMA)なども手がけているが、「日本テレビを辞めて半年が経って、もちろん地上波が好きだから今も楽しくやってるんですけど、せっかく配信をやるなら地上波でやれないことの答えを探して、試して、一喜一憂している時期にいますね」と語る。
さらに、古巣・日テレでは、オーディションで選ばれた若者7人がアーティストとして格闘して成長していく過程を描いていく『真夜中の推し活~S/TEAM BLOOD~』(毎週火曜24:59~)が7月から、SNSで活躍するKOL(Key Opinion Leader)を“通販プレゼンター”に育成する『日テレポシュレPresents BUTSUYOKU LAB.』(毎月1回深夜)が8月からスタート。非常に幅広いジャンルを手がけているが、そこに通底する1つのキーワードが「リアル」だ。
「若者がデビューしてアーティストになっていく姿を追いかけたり、KOLが商品プレゼン動画を作って本当に通販をしたり、『横道ドラゴン』もリアルを突き詰めたのがアドリブだったりするんです。テレビで培ったコンテンツの制作力や演出力の幅をどこまで広げられるかという作業を、いろんなベクトルでやっているというだけなので、他の人が見たらいろんなジャンルをやってると思われるのかもしれないですね」としつつ、「やっぱり新しいことや、ワクワクすること、今までやっていないことへの興味が強いので、その好奇心を軸にやりたいことをやっている感じです」と意識を話す。
昨年12月末に日テレ退社してから準備してきたものが、半年経って次々と形になって世に出てきたのが前述の番組で、「来年ぐらいにまたいろいろなことを一気にやりたいと思っているので、また準備期間に入って、吐き出す、ということの繰り返しですね」という仕事のサイクルに。
「テレビで学んだ時代の変化や視聴者の変化を読み取りながら、“スマホや配信で見るなら、ここまで変なものでも見てくれるかな”とか、コンテンツを広げるという戦いをやってる感じが、すごく面白いです」といい、独立後もクリエイターとしての活動が充実していることをうかがわせた。
●橋本和明
1978年生まれ、大分県出身。東京大学大学院修了後、03年に日本テレビ放送網入社。『不可思議探偵団』『ニノさん』『マツコとマツコ』『マツコ会議』『卒業バカメンタリー』『Sexy Zoneのたった3日間で人生は変わるのか!?』などで企画・演出、18年・21年の『24時間テレビ』で総合演出を担当。『寝ないの?小山内三兄弟』『ナゾドキシアター「アシタを忘れないで」』『あいつが上手で下手が僕で』などドラマ・舞台の演出も手がける。22年12月末で日テレを退社し、個人会社「WOKASHI」を立ち上げてフリーに。現在は『有吉ゼミ』で演出、『有吉の壁』で監修を務めながら、『名アシスト有吉』(Netflix)、『愛のハイエナ』(ABEMA)、『真夜中の推し活~S/TEAM BLOOD~』『日テレポシュレPresents BUTSUYOKU LAB.』』(日テレ)を制作。Z世代をターゲットとしたマーケティングのトータルプロデュースを行うQREATION社の取締役も務める。