――“一発屋”という言葉が受け入れられない時期もあったとか。
高木:ずっと売れるものだと勝手に思っていましたし、当時はピンとこなかったので、受け入れるまでに時間がかかりました。今はもう、一発屋は悪い言葉ではないなと。実際意味も変わってきている気がします。
池谷:歌でも、大事MANブラザーズバンドさんの「それが大事」って今でもいいじゃないですか。一発屋と言われますが、ずっといいものはいいんですよ。芸人の場合は、一発屋はいろいろな仕事ができないので仕事が減ってしまい、辞めるコンビがいますが、僕らは続けていたので、「やっぱいいよね」ともう1回世間が認めてくれた。一度でも当てることがすごいと理解してくれるようになっていますし。でも、褒めてもらうのも困るんです(笑)。14年ぐらい一発屋でやってきたので。
高木:一発屋ってバカにしてくれて全然いいんです。一発屋と言われている時期が長すぎて、「再ブレイクしましたよね」と褒められるとなんて言っていいかわからない(笑)。急には調子が乗れないんです。
――再ブレイクした一発屋芸人の方たちは皆さん、続ける大切さをおっしゃいますが、ジョイマンさんも「なななな~」のラップネタから離れようと思ったことはなかったですか?
高木:普通の漫才やコントをやった時期もありましたが、結局元のネタに戻ってきましたね。僕ら自身もこれが一番面白いと思っているので。
池谷:2人に一番合うネタがこれで、見つけるのが早かったということだと思います。
――最初のブレイクのときは、ずっとやっていて飽きてしまったそうですね。
池谷:2人とも飽きていました。たぶん浮かれていたんでしょうね。ウケるし、かっこつけたいし、斜に構えて「飽きているけどな」という感じでやってしまっていました。それがよくなかったなと。
高木:そのスタンスがかっこいいと思ってしまっていて。「これやればいいんでしょ」と思っているのが伝わって、ウケなくなっていったのかなと。
池谷:今は飽きてないです。毎回何かしら違うので、楽しくやっています。クールポコ。の小野さんの「やっちまったな!」の顔ってずっと面白いんです。何回見ても笑えるんです。その姿を見て、本人が飽きずにやり切る大切さを再確認しました。
高木:本気で全力でやったら全部面白い!
――自分たちのネタを愛して全力でやっていると、見ているこちら側も楽しい気持ちになりますよね。
高木:自分でも笑けてきますから。ぴょんぴょん跳んでいるときに、「このネタ何千回やるんだろう」とよぎって。「このネタ好きなんだな、俺」って思います。
池谷:そういう思いが見てくれている人たちに伝わっているのだと思います。
――一発屋であると受け入れてそれもネタにして笑いにできるようになった転機を教えてください。
池谷:一発屋の先輩のおかげですね。レイザーラモンさんやムーディ勝山さん、レギュラーさんたちのおかげで一発屋を受け入れることができ、吹っ切れました。「一発屋じゃない」というのはいらないプライドだな、自虐を言うことも芸だなと。これでいいじゃんって楽しめるようになりました。「サイン会0人」から。
高木:「サイン会0人」は大きいですね。それを発信して、自虐ネタでこんなに笑ってもらえるんだと。これがジョイマンには合っているとわかってきて、どんどん自虐ネタも考えるようになりました。笑ってもらえることが一番うれしいので、プライドはいらないなと思いました。