◆POV-Ray V3.8.2 Beta2(グラフ12)

POV-Ray V3.8.2 Beta2
Persistence of Vision Raytracer Pty. Ltd
http://www.povray.org/

  • グラフ12

POV-Rayの結果もまぁ予想通りというべきだろうか。もともとAMD系にはやや不利(以前こちらでも書いたが、このバージョンではIntel CPUにはNoise Functionにavx2fma3-intelを、AMD CPUにはavx-genericを使っている)なテストであり、それを加味して考えればRyzen 5 7600Xのスコアの低さも納得できる。Ryzen 9 7950XがCore i9-13900Kに及ばないのもまぁ妥当な範囲と言えるのではないかと思う。

◆Stable Diffusion UI v2.28(グラフ13)

Stable Diffusion UI v2.28
cmdr2
https://github.com/cmdr2/stable-diffusion-ui

  • グラフ13

意外に大差がついたと感じたのがこのStable Diffusion UI。ちなみに原稿執筆時点での最新版はv2.4.13になっており、またスコアが変わっているので、今回の結果はあくまで一つの目安と考えてほしい。という事で結果を見ると、まぁRaptor Lakeの性能の高さが際立った格好ではある。なにしろCore i9-12900KよりCore i5-13600Kの方が高速なのだから圧倒的である。AMDは? というと、Ryzen 9 7950XがCore i9-12900Kよりちょっと遅い程度でRaptor Lakeとは比較にならない。アプリケーションによってはこういう結果も出る、という一つの例である。

◆TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.23.25(グラフ14)

TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.23.25
ペガシス
http://tmpgenc.pegasys-inc.com/ja/product/tvmw7.html

  • グラフ14

Stable Diffusion UIと逆パターンなのがこちら。同時処理Stream数が1/2/4のいずれの場合でも、Ryzen 9 7950XがCore i9-13900Kを凌駕している。一方、Core i5-13600KはほぼCore i9-12900Kと同じ程度の性能を出しており、なのでRaptor Lakeが何か理由があって遅い訳ではなく、TMPGEncというかペガシスのx265エンコーダを使うとZen 4コアはかなり効率よく動くという話である。要するにRaptor LakeとZen 4、どちらが高速なのかはアプリケーションによって変わる、という話である。

◆Intel oneAPI Math Kernel Library Benchmarks Suite 2022.0.2_92(グラフ15)

Intel oneAPI Math Kernel Library Benchmarks Suite 2022.0.2_92
Intel
https://www.intel.com/content/www/us/en/developer/articles/technical/onemkl-benchmarks-suite.html

  • グラフ15

次はこちら。Size及びLDAが60000の場合の性能を比較してみると

Core i5-12600K:i5-13600K=476.1453:621.0778≒1:1.305
Core i9-12900K:i9-13900K=658.6116:900.3783≒1:1.367

ということで軽く30%以上の性能向上が実現している。なにしろCore i5-13600KとCore i9-12900Kがさほど性能差が無い、というあたりが恐ろしい。勿論代償は消費電力の増加ではあるのだが、それはともかくとして性能そのものは大きな向上を見せているのがお分かりかと思う。

◆CrossMark 1.0.1.88(グラフ16)

CrossMark 1.0.1.88
BAPCO
https://bapco.com/products/crossmark/

  • グラフ16

速報版では「やります」とだけ書いて結果をご紹介しなかったBAPCOのCrossMark。測定方法は簡単で、Microsoft Storeからダウンロードして起動し(Photo03)、左下の「ベンチマークを実行する」をクリックするだけである。クリックするとProductivity/Creativity/Responsivenessの3種類の測定を行い、その結果としてOverallが示される。測定時間は数分のオーダーで、非常に簡便なテストである。測定が終わるとこんな具合(Photo04)にスコアがオンラインで示される。ちなみに有償となるPro版だと、PDFへの結果出力とかコマンドラインでの起動などいくつか有効になる機能があるが、無償のBasic版では結果は画面とオンライン(Photo05)のみである。

  • Photo03:というかこの状態だとそれ以外の操作は事実上出来ないのだが。

  • Photo04:複数回実施すると、こんな具合に結果が並んで表示される。

  • Photo05:オンラインでも結果は見られるが、しかしスコアの詳細とかは勿論無い。

CrossMarkは複数のプラットフォーム(Windows/MacOS/iOS/Android)で横並びで比較できるという点では有用なツールではあるのだが、その一方で何をやっているのかさっぱり判らないという問題がある。一応White Paperには、全部で7つのシナリオがあるとされる。ProductivityはDocument Editing/Spread Sheet/Web Browsing、CreativityはPhoto Editing/Photo Organization/Video Editing、ResponsivenessはResponsivenessであるが、先にPCMark 10やProcyonの所で示したように具体的なテスト毎の詳細データとか、スコアリングルールなどは一切未公開であり、その意味では実施しても今回のような分析には耐えないだろう。

結果はグラフ16に示す通りである。筆者の不手際でCore i9-12900Kだけスコアが取れていない関係でこれを省いた5つで結果をご紹介した。率直に言えばIntelが優勢というスコアが出ているが、これが実環境での性能にどのように関連するか不明であることは、ご了承いただきたい。

◆3DMark v2.24.7509(グラフ17~20)

3DMark v2.24.7509
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ17

  • グラフ18

  • グラフ19

  • グラフ20

もうOverall(グラフ17)を見て頂くと判るが、NightRaidを除くと大きなばらつきはないとしてしまっても問題ないレベルである。比較的負荷の高いSpeedWayはともかく、負荷の軽いWildLifeですらこれなのだから、まぁここでの性能差はほぼ無い、とみて良いかと思う。というか、FireStrikeではRyzen 9 9750Xが最高速なほどだ。

Graphics Test(グラフ18)ではこれが一層顕著で、NightRaid以外はほぼ同じとしてしまって差し支えないレベル。Physics/CPU Test(グラフ19)は勿論性能差が出る訳で、ここでNightRaidが妙にAMD系に厳しいのは今回に始まった話では無いが、FireStrike/TimeSpyの傾向は概ねCineBenchとかPOV-Rayに近い、納得できるものである。Combined Test(グラフ20)で、なぜかRyzen 9 7950Xのスコアが突出しているのは不思議(確認したのだが、他が60~70fpsなのに、Ryzen 9 7950Xのみ100fps超えだった)が、それを除くと概ね変わらない格好で、まぁ妥当な結果と言える。