さて、個人的にも久方ぶりの海外取材だったわけですが、COVID-19対策の影響もあってか、特にキャッシュレス決済の導入が広く進んでいました。

例えば、今回入港シーン撮影のロケハンのために、シドニー湾の公共交通手段でもある湾内連絡船を利用しましたが、その決済手段として以前から使われていた「Opal Card」(日本でいうところのSUICAなどの交通系ICカードに似た機能を持つ)に加えて、タッチ決済に対応したクレジットカードも利用できるようになっていました。

  • シドニー湾の周辺は鉄道、バス、船を同じパスで利用できる統合公共交通網が整備されている

  • 連絡船ふ頭の改札。Google“ぽい”デザインのセンサーにカードをかざして入場する。このセンサーにタッチ対応クレジットカードも対応している

船上でもクレカのタッチ決済が役立った

現地の交通系ICカードを購入すれば楽なのですが、購入するまでがなにげにハードル高いですよね(特に心理面で)。タッチ決済のクレジットカードが使えるおかげで、初めての土地でも公共交通機関を気軽に利用できるのは、旅行者としてとても大きなメリットといえるでしょう。

  • Opal Cardの販売機もあってこちらもクレジットカード“だけ”が利用可能。ちなみに今回の取材で現金で支払ったことは一度もなかった

特に今回はロケハンということで、複数の連絡船航路を利用しました。従ってチケットを購入する機会も多く、かつ、終着港から船に乗ったまま出発港に戻るときも、いったん下船してチケットを買いなおさなければならないところでしたが、船に乗ったままスタッフが所持しているハンディ端末にクレジットカードをかざすだけで、帰りの便のチケットが決済できてしまうなど、格段に便利になっていたのは助かりました。

  • 船に関心があるならば、歴史的価値のある帆船が係留されているCircular QuayからPyrmont Bayを結ぶ「F4」航路がベスト

  • F4航路では、Pyrmont BayからCircular Quayに戻る航路で、Sydney Harbour Bridgeの向こうにSydney Opera Houseを望む景観を堪能できる

  • シドニー湾の入り口にあたるManly Wharfには「F1」航路を利用する

  • F1航路ではかつてシドニー港を守っていた要塞「Fort Denison」をすぐ近くで観ることができる

  • その途中にあるBradleys Head Lighthouseの近くには、第一次世界大戦において、インド洋から南太平洋にかけて猛威を振るったドイツの巡洋艦「エムデン」を撃沈した、オーストラリア海軍巡洋艦「シドニー」の前部マストを記念碑として保存しているH.M.A.S. Sydney Memorial Mastがある

  • ここがシドニー湾の“玄関口”。左が北の岬で文字通りの「North Head」、右の岬に見える灯台が「Hornby Light House」、そしてその間に見えるのが外洋のタスマン海だ

船でも何かと進化していてなにかと便利!

従来、現代では不可欠となったデジタルデータの利活用において「船では何かと遅れていて何かと不便」という認識が一般的でしたが、それはもう過去のこと。COVID-19という厄介な事情のおかげもあったかもしれませんが、とにかく今は、「船でも何かと進化していてなにかと便利」になっています。

衛星データ通信に関しては、この記事が完成する直前の1月18日にStarlinkの導入を発表しています。洋上におけるインターネット活用については、陸とほぼ同じ環境が実現することになるでしょう。

もし皆さんが海外旅行してみたいと思ったならば、洋上で使えるようになったデジタルガジェットを楽しむために船旅を選んでみるのも興味深い選択といえるでしょう。