キュナードのドキュメントでは、船内のアクセスポイントが対応している無線LAN規格が不明なので、実際に筆者が購入した「PREMIUM」パッケージ(航海中有効のプラン)で各種ベンチマークテストを使って測定してみました。
測定した時間は現地時間4時半ごろと、インターネットに接続しているユーザーが少ない時間ですが、google.comのインターネット速度テストではダウンロードで9.29~9.85Mbps、アップロードで5.24~6.52Mbps、レイテンシ46~67ミリ秒、NetflixのFAST.comではダウンロード19~25Mbps、アップロード7.9~8.7Mbps、レイテンシがアンロード済み630~662ms、ロード済みが1.3sでした。
ダウンロード | アップロード | レイテンシ | |
---|---|---|---|
google.com インターネット速度テスト | 9.29~9.85Mbp | 5.24~6.52Mbps | 46~67ミリ秒 |
Netflix FAST.com | 19~25Mbps | 7.9~8.7Mbps | アンロード済み630~662ms/ロード済み1.3s |
一般的に動画のストリーミング再生に必要な速度は標準画質で10Mbps、高画質で30Mbpsとされています。この基準でいえばクイーン・エリザベスの「PREMIUM」パッケージで使えるインターネットは、動画ストリーミングの視聴に十分耐えうる速度を出しているといえます。
実際に洋上で接続端末の台数も多いだろう午後に、YouTubeで動画(それも可変画素が多くなる“洋上を帆走するヨット”の動画)を、フルHDで15分間ほどストリーミングしましたが、コマ落ちすることなく、ブロックノイズも出ることなく、きれいな状態で視聴できました。
さらに、FacebookのMessengerによるビデオチャット、LINEによるビデオチャットもそれぞれ数分間ずつ試しましたが、こちらは、どちらも多少のブロックノイズが発生するものの大きく遅延することなく、動画を確認して会話をすることが可能でした。
画質を問わなければ、個人が南半球の洋上を航行する船舶から衛星生中継をすることができるというのですからとんでもない世の中になったものです。
ネット接続が快適なことで思わぬ福音も……
衛星生中継! ……とまでいかずとも、インターネットに接続できることで「陸と同様に」(これ大事)さまざまなサービスを利用できることも、現代では大変便利です。特に高速なデータ転送が可能なことで、画像を使ったサービスが洋上でも実用レベルで利用できます。
その恩恵を最も強く感じたのが、Googleレンズの翻訳機能でした。英国のキュナードが運航するクイーン・エリザベスの船内は原則英語表示。2017年から日本発着クルーズを実施しているだけあり、日本人船客のサポートも充実していて、船内新聞や案内パンフレット、メイン・ダイニングのメニューなどは日本語も用意されているので不自由はないのですが、それでも船内に掲げられている案内板の多くは英語表記です。
そのようなとき、高速インターネットが利用できると、Googleレンズで取得した画像をほんの数秒で解析して日本語を表示してくれます。これが実に便利でした。
無料のイントラネットでもここまで便利
インターネット接続サービスとは別に、船内で閉じているイントラサービスも用意されています。こちらは無料で利用できます。
このイントラサービスでは毎日配られる船内新聞の電子版(その日に予定されているイベントスケジュールが記載されている)や、船内に多数あるレストランやラウンジ、バー、カフェのメニューなどが確認できるだけでなく、レストランの予約や船内で使った有料サービスの利用履歴、船内ショップや客室ミニバーでの購入履歴、さらには、客室番号をアドレスとして指定するメッセージ機能などを備えています。
COVID-19で進化した海外デジタル環境
さて、この記事の冒頭で“とあるお仕事的事情”とお話ししましたが、実はクイーン・エリザベスの魅力を紹介する“お船のお仕事”の一環として、今回乗船する機会を得ることができました。
魅力を紹介するお仕事ですからクイーン・エリザベスの素敵な姿を多くに人に見てもらいたい。船の魅力的な姿といったら……、入港シーンですね!(個人的な感想です)
港の景観をバックに静々と近づいてくる船影。よし!これを撮影しよう。
とはいえ、実をいうと船が入港するシーンを狙って撮影するのはなにげに難しかったりします。今回、事前におおよその着岸時間は聞いていたもの、それ以前の動静については何も情報を得ていません。