――迎えた2019年のオフにフロンターレへ移籍しました。

オファーが来てすぐにチャレンジすると決めました。自分の年齢と代表にどの段階で入っていくのかを考えた時に、湘南をJ1参入プレーオフ決定戦で残留させて、新しいチャレンジをしてみたいと思っていたタイミングだったので。なので即決でしたね。ベルマーレ側には「行かせてください」と正直に伝えました。

――そして2020年にはリーグ優勝を経験しました。

2020年に関しては正直、自分の中ではみんなにおんぶに抱っこだったというか、自分の強みだけを出していたらチームが勝っていた、というくらいの強さがありました。試合に勝つのは当たり前というか、その中で選手個々が何をできるのかを、ベンチ外の選手までが考えられる集団だったので。なので日替わりヒーローじゃないですけど、ターンオーバーしたとしても、代わりに出る選手が躍動する。それが繰り返されたシーズンで、僕は自分のできることだけをしようと本当に必死でした。

――昨シーズンも優勝し、アントラーズ以来となる3連覇の偉業がかかった今シーズンでしたが。優勝した横浜F・マリノスに勝ち点で2差の2位でした。

ここから波に乗って行く、という試合で負けるパターンがすごく多かった。悔しさというのももちろんありますけど、自分たちの責任だという思いの方が強いですね。

――あらためて振り返ると、勝ち点を落として悔しかった試合というのは。

最後の最後で失点して勝ち点3が1になるとか、勝ち点1が0になった試合がたくさんありますし、もちろん逆もありますけど、リーグ戦というのは勝ち点の積み重ねで争われる。それを近年では一番わかっているチームがフロンターレのはずなのに、ここが勝負どころ、という試合で突き詰められなかった。それに尽きると思っています。

――2連覇した満足感の類みたいなものが理由だったのでしょうか。

満足感はなかったと思いますけど、何かが上手くいってないと思いながらサッカーをしていたし、例年に比べて自分たちがやりたいプレーができる時間がかなり減っている、というのもストレスになっていたのもあると思います。勝つことが目標になっていたので、エラーが起きた時に「やばい」となることが多かったのかもしれないですね。

――去年までは勝利もそうですけど、自分たちらしさを出すという目的もあった。

勝つのは大前提で、その中でフロンターレはこんなにも面白いサッカーをするんだ、という部分も見せていく。自分たちはこんなこともできる、というのを見に来てくれる人に表現しながら、どんどん成長していきたいという欲があったし、それを実現できるだけのチーム力もあったんですけど。それがどんどん目の前の試合で勝ち点3を奪いにいくようになり、エラーが起きた時にモチベーションが下がっていったというか。

――それでもフロンターレのサポーターは、悔しくてもブーイングしませんよね。

今年もなかったですし、最終節では悔しいはずなのに、僕らを称える雰囲気を作ってくれたところを誇りに思っています。今シーズンはタイトルをひとつも取れなかった。ファン・サポーターが求めるフロンターレではあってはならない結果ですし、来シーズンこそは終わってから何かを後悔しないようにしたい。