■17歳の若者へ
――結局は二人とも(笑)。お時間が来ましたので、最後の質問をさせてください。作中、田中麗奈さん演じる教師が生徒たちへ「皆さんもこれから10年経ったら、必ず27歳になります。その時に後悔することが、私なんかより一つでも少ないことを私は本気で願っています」と伝えるシーンが印象的でした。この記事を読む17歳へ、お二人から伝えたいことはありますか?
伊藤:SNSをやらせていただいていると、「役者になりたいけど、怖い。からかわれるかもしれないし、うまく行くか分からない」というメッセージをよく頂くのですが、興味があるなら、1回やってみて絶対に損はないと思うんです。
これは俳優業に限らず、経験が全てだと思いますし、もし何かに手を出そうとしているんだけど一歩が踏み出せなくて、「恥ずかしい」という気持ちが躊躇する理由だったら絶対にやったほうがいい。目指すことは自由なので、何か興味があることは片っ端からやっていけばいいと思います。
私は小っちゃい頃から俳優をやっていますが、兄は大学を卒業して教員免許を取る寸前で突然NSCに入って、お笑い芸人になって帰ってきたんです(笑)。
「なんじゃそりゃ!」って思うけど、そうやって興味がある道に進んで、楽しい毎日を過ごしていますし、無責任ですが、興味がある世界に1回試しに飛び込んでみたり、楽しいほうに進んでいけばいいよと伝えたいですね。すごい上からみたいな意見になってしまいましたが(笑)。
――いやいや! 背中を押される人も多いと思います。成田さんはいかがでしょうか? 17歳と言えば、これから進学や就職、それこそお笑いの世界に進んだり、決断を迫られるタイミングなのかなと思います。
成田:17歳でやりたいことを決めるなんて、難しいですよね。大人は理解してくれない、仲間も分かってくれない、みたいに悩んでいる人もいると思うんですけど、自分が今正しいと思うことをちゃんと信じてあげて、突き詰めていけば、また新しい何かに出会ったり、「いい人だな」と思える人に出会ったりするはずです。
いろんな世界を見たり、例えば友達と深く関わってみたりするのも大切なことだし、伝えられるのは「なんでもやってみる」ってことくらいかな。こういう無責任な風にしか言えないから、抽象的になっちゃうけど、「大丈夫。今が全てじゃない」ということを伝えたいです。
1993年11月22日生まれ。埼玉県出身。2014年、フジテレビNEXT smartオリジナルドラマ『FLASHBACK』にて高梨臨とのW主演で俳優デビューを果たす。2018年、映画『スマホを落としただけなのに』と『ビブリア古書堂の事件手帖』で、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2019年、『チワワちゃん』『愛がなんだ』『さよならくちびる』などの演技が評価され、第93回キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする数々の助演男優賞を受賞。主演を務めた『カツベン!』では、第74回毎日映画コンクールで男優主演賞を受賞した。2022年、6月6日より舞台『パンドラの鐘』に出演、映画『コンビニエンス・ストーリー』が8月5日公開予定。
1994年5月4日生まれ。千葉県出身。2003年にドラマデビュー後、数々のドラマや映画、舞台などで活躍。21年にエランドール賞新人賞、ブルーリボン助演女優賞の栄誉に輝き、22年に主演を務めた映画『ちょっと思い出しただけ』は第34 回東京国際映画祭観客賞、スペシャルメンション受賞。近年はドラマ『いいね! 光源氏くん』(NHK)、『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)、映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』(21)など。2022年、映画『映画ざんねんないきもの事典』(声の出演)が7月8日公開、8月より舞台『世界は笑う』に出演。