――伊藤さんは「想像していたより大人じゃない」とおっしゃっていましたが、そのことにモヤモヤしたりすることはありますか?

伊藤:自分が思っていたような大人じゃないにしても、すごく大人になりたいかと言われたら、正直なところ、別にそういうわけではなくて。だからと言って、子どもっぽいままではいられないという感じで、すごくフワッと生きています(笑)。

ある時から、明確に“これから大人”って法的にいきなり言われるわけじゃないですか? そこから自分を大人と決めるのも難しいし、想像していたような大人じゃないですけど、目指す像もそんなになくて、ただ、思っていたよりも子どもっぽいなという印象ですね。

――ご自身のどんなところが「子どもっぽい」と思いますか?

伊藤:まだそこまで余裕がないところですかね。何かが起きれば乱されるし、感情が優勢になったりするところは、もうちょっと冷静に考えるべきだなとか。でも、私は出会いや周りの大人にも恵まれているので、そこで一個一個吸収しつつ、これからもどんどん取り入れていければと思います。

■成田凌と伊藤沙莉の17歳は?

――では今度は10年前に時間を遡らせてください。17歳の頃、お二人はどんな風に過ごしていましたか?

成田:ひたすら部活で走らされてましたね(笑)。それこそ今日の衣装を担当してくれているスタイリストさんが高校の友人なんですけど、毎日一緒に登校して、部活やって、駅から帰ってる途中に決まって一言「あー、12時間後にはまたここにいるんだな」って言うんですよ(笑)。

伊藤:あはは(笑)。

成田:部活が本当にしんどすぎて、つらかったなあ(笑)。こんな10年後があるなんて、想像もしてなかったです。不思議すぎます。17歳くらいの時に美容師になることを決めたんですけど、それも自分の意思じゃなくて。当時ちょうど27歳くらいだった先生から「進路どうするの?」と聞かれた時、隣にいた友人に「俺たち専門学校行きます!」って一緒に手を挙げられて決まっていました。

勢いでしたが、「やる!」と決めたらもう責任が伴いますから、ちゃんと免許を取りました。結局声をかけていただいて、この世界に入ったので、美容師にはならなかったんですけど(笑)。

――人生なにが起こるか分かりませんね(笑)。伊藤さんは17歳の頃はもう役者のお仕事を始めていましたよね。

伊藤:そうですね。私は9歳から、このお仕事をやらせていただいていて、17、18歳で多分最初で最後の“続けるか続けないか”を決める時間というか、このまま本当に(役者を)職業にしていいのか、自分が向いているのかとかを一番考えた時期でした。

正直、小学生とか中学生の頃のほうがオーディションには受かっていて。当時は学園モノの作品が多かったんですけど、そのくらいの時期にある人に「学生服を着てる君しか想像できない」って言われたんです。

本当の学生じゃなくなるのに、学生服を着た私しか想像つかないってことはできる役がなくなるということで、若干童顔とは言え、制服を着られる時期は多分限られているだろうなって……なにか特別な資格があるわけでもなく、「私、女優です」って言ったら女優になれる不思議な世界じゃないですか? そういうことをずっとぐるぐると考えている時期で、先が見えない、恐怖に近い日々ではあったかもしれないです。

成田:大人じゃないですか! (自分は)「12時間後も、またここにいるのか」って言ってたのに(笑)。

伊藤:私も12時間後は学校にいましたけどね(笑)。