小説家の燃え殻氏による書き下ろし、成田凌主演によるHuluオリジナル『あなたに聴かせたい歌があるんだ』(全8話・Hulu独占配信中)。同作では、17歳と27歳に人生の分岐点を迎えた同級生男女5人の若者が抱く夢と葛藤、後悔を描き、正解が出づらい現代社会が痛々しくも瑞々しく映し出される。
マイナビニュースでは今回、同作に出演する成田凌と伊藤沙莉にインタビュー。17歳、そして27歳を経験した二人が今、17歳の若者に伝えたいこととは――。
■“燃え殻チルドレン”の二人が共演
――今作の企画を最初に聞いたときの感想を教えてください。
成田:原作が燃え殻さん、そして、題名、監督、キャスト一覧を見て、いい作品になるんだろうなと直感的に感じました。
伊藤:燃え殻さんとは少し前にお仕事をさせていただいていたんですけど、今回も「燃え殻さんらしいな」というお話で、成田さんと似た感想になるのですが、「面白くなるだろうな」という漠然とした自信のもと臨みました。
――伊藤さんが映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』、成田さんは朗読劇『湯布院奇行』と、お二人とも燃え殻さん原作の作品に縁がありますよね。
成田:そうですね。自分たちは“燃え殻チルドレン”だと思っています(笑)。
――“燃え殻チルドレン”(笑)! 伊藤さんが「燃え殻さんらしい」という表現をされていましたが、ズバリ燃え殻さんの書かれる物語の魅力とは?
成田:燃え殻さんと初めてお会いさせていただいた時に、いろんなお話を聞いて、すごく濃い出来事ばかりで「この人は何人分の人生を生きてるんだろう?」という印象でした。だからと言って、自分目線からの物語だけじゃなくて、色々な視点から……燃え殻さんの魅力は一言では表せないですね。
今回の作品も、20代ならではのモヤモヤもありつつ、自分が忘れているような高校生のモヤモヤも表現されていて、(燃え殻さんより)自分のほうが高校生の頃の記憶は近いはずなのに、燃え殻さんの文章を読んで蘇ってくるんですよね。それは、燃え殻さんがちゃんと一つひとつの物事を記憶して、自分の心に深く刻んでいたからなんだろうなと思います。
伊藤:燃え殻さんは観察力がすごくて、たくさんの人と会って、お話を聞くこともすごくお好きなのかなと思います。だからこそ、そこから派生して「こういう人だったら、こういうことを考えるんだろうな」とか、色々なものをヒントにできる。
燃え殻さんご本人もおっしゃっていましたが、普通だとスポットライトを当てないところにスポットライトを当てていて、それを魅力的に描けるってすごく素敵ですよね。物語って、夢が叶うまでのサクセスストーリーだったりを描いたものが多くて、夢が叶わなかった人を描くのはオチ諸々を含めて難しいと思うんですよ。でも燃え殻さんはそういうところに光を当てつつ、寄り添うことにとても優れた方という印象です。