既に概要をレポートした様に、Rocket Lake-SことDesktop向け第11世代Core iプロセッサがやっと発売になる。これに先立ち、Z590マザーボードは大量に新製品が投入されており(参考記事その1その2その3)、あとはCPUが発売されるのを待つだけとなっている状況である。

  • Core i9-11900KとCore i5-11600K

    Core i9-11900KとCore i5-11600K

そんな訳で、早速このRocket Lake-Sの評価レビューをお届けしたいのだが、その前に先ほどの既報レポートで一か所だけ情報のUpdateがあったので、お伝えする。オーバークロック機能の一つにAVXの無効化があり、これをダイナミックに行える模様、という話があった(これはIntelに質問を投げた結果の回答である)のだが、やっぱりダイナミックに無効化できるのまずくないか? という議論がIntel社内であったらしく、改めて公式の回答として

「AVXの無効化機能については、リリース版では再起動を必要とする仕様で固まりました。また、AVXの無効化機能は、オーバークロック上級者向けの機能です。AVXを使用しているアプリケーションについては、実行前にチェックし実行できないようにしますが、すべてのアプリケーションでチェックがかかるわけではないため、あくまで上級者向けの機能とご理解ください。」

ということで、OC Toolから有効化/無効化が可能になる「かもしれない」(今回OC Toolは試用できなかったので仕様を確認できていない)が、再起動しないとそれが反映されないという形になった。どちらかというとこれ、BIOS Setupに追い出した方が良さそうな感じもある。ちなみに上の回答は要するに「AVXの有効化/無効化を行うと、これにあわせて内部のCPUID Flagレジスタの値が変化する」という意味と考えて良いだろう。まぁ妥当な判断だと思う。

評価キット

ということで評価キットについて。3月17日にIntelから公開されたパッケージ写真(Photo01)を見るとな結構な大きさのパッケージになるらしいが、今回届いたキット(Photo02~04)は評価専用のもので、Core i9の謎パッケージにはお目に掛かれなかった。

  • Photo01: AMDもそうだが、別にCPUクーラー内蔵してるわけではないのだし、もう少し小さいパッケージでもいいと思うのだが。

  • Photo02: Photo01より更に一回りでかい化粧箱で、「一体何が」と訝った。

  • Photo03: 背面の"Designed to Game"は土台の箱と磁石でくっつくという、凝った設計になっている。力の入れどころがなかなか愉快。

  • Photo04: 上からみた図。左下の立方体のアクリルは、別に特に意味はない模様。

中のブリスターパックそのものは以前と変わらず(Photo05)。ただヒートスプレッダの形状そのものは変更になっている(Photo06)。底面のコンデンサの配置もちょっと変わっている(Photo07)。ちょっと比較対象のためにComet LakeのCore i3-10100と並べてみたのがこちら(Photo08)。ヒートスプレッダの寸法が

Comet Lake:外側30mm×32.4mm、内側28.5mm×29mm
Rocket Lake:外側30.6mm×31.6mm、内側27.7mm×31.6mm

と、随分形が変わっている。側面からの見かけも随分異なる(Photo09)。底面も明らかにコンデンサの数が増え、しかも広い範囲に配置されている。一般論ではあるがパスコン、つまりバイパスコンデンサはなるべく電源供給ラインに近いところ、つまりダイの真下に置くことが普通である。もっともIntelの場合、LAND(接点)があまりに多すぎるので、ダイ全体に漏れなくパスコンを配するのは無理という事情がある。それでも出来る限りパスコンを詰め込もうとした結果がこれ、という感じだ。

  • Photo05: 今回はCore i9-11900KとCore i5-11600Kの2製品が届いた。

  • Photo06: こう並べると当たり前だが違いが判らない。

  • Photo07: というか、更に小さいサイズのパスコンが大量に配されている。ついに0102サイズのものまで使い始めた模様。

  • Photo08: 厳密に言えば第11世代は、3段階の絞り構造になってるあたり、どういう意図というか理由があったのか知りたいところ。

  • Photo09: 左がCore i3-10100。絶対的な高さそのものは当然一緒である。

  • Photo10: これも左がCore i3-10100。一番小さいのでも0204サイズである。

なおRocket Lake世代のすべてのパラメータがまだ公開されている訳ではないが、今回試用したCore i5-11600K及びCore i9-11900Kに関してはどちらも

PL1:125W
PL2:250W
PL1 Tau:56sec

とされている(PL1/PL2/PL1 Tauについてはこちら https://news.mynavi.jp/article/20200617-1057910/ を参照)。事前説明会ではPL3/PL4の設定もある、という恐ろしい話が出てきたが、今回は公開されていない。CPU-ZではどちらのCPUも問題なく認識された(Photo11~14)。

  • Photo11: Revision B0というあたりは一度作り直しているということになる。

  • Photo12: Comet Lakeと比較すると、L1 D-Cacheの大容量化、L2及び倍増が目立つ。L3はコアあたり2MBで変わらず。

  • Photo13: しかし6コアのCore i5でPL1 125W/PL2 250Wというのは何とも。

  • Photo14: こちらは特に問題はなし。

これと組み合わせるマザーボードであるが、今回はASUSのROG MAXIMUS XIII Heroを利用した(Photo15~22)。こちらのレポート記事でも簡単に名前だけは紹介されていたものだ。

  • Photo15: パッケージはMXIMUS系列の流れをくむもの。よく見るとWi-Fi 6Eのロゴ入りで、ということはAX210を搭載しているということになる。

  • Photo16: 最近はフルカバードの製品が増えてきたが、Maximus XIII Heroもその一つ。個人的には運用中、PCHが結構温度が高くなる(ファンなどが無い)のがちょっと気になった。

  • Photo17: 意外にも裏面は剥きだし。寸法は305mm×245mm、重量は1602.1g(いずれも実測値)だった。

  • Photo18: 電源は17Phase(!)。ただ実際に使ってみると、このクラスが必要な理由が良く判った。

  • Photo19: 勿論ATX12Vコネクタは2つ。Core i9-11900Kを使う場合、両方挿しておくことを強く推奨。

  • Photo20: バックパネル。Display出力はHDMIのみ。2.5GBASE-T×2という構成、個人的には現実的だと思う。USB Type-CポートはThunderbolt 4対応。

  • Photo21: SATA×6、USB 3.0ポート×5(SATAを挟んで両側にUSB 3.0×2コネクタが並び、その右にケース内接続用USB 3.0ポートが配される)。

  • Photo22: ASUS Hydranodeはケースファン制御用チップ。その右にあるNuvotonの3961AFはDCファンのドライバ(ただし汎用品ではなくASUS向けのカスタム品っぽい)。

さて、テスト環境は表1の通りである。対抗馬はRyzen 5 5600X(これはCore i5-10600Kの対抗)とRyzen 7 5800Xを用意した。グレードから言えばRyzen 9 5900Xあたりを持ち込むべきなのだろうが、Ryzen 9は2ダイ構成になってしまう。今回は同じ1ダイで8コア、というあたりをそろえて、どの程度性能差があるかを確認してみることにした。

■表1
CPU Ryzen 5 5600X
Ryzen 7 5800X
Core i5-11600K
Core i9-10900K
Core i9-11900K
Motherboard ASRock X570 Pro4 Maximus XIII Hero
BIOS Version 3.90 Version 0610
Memory CFD W4U3200CM-16G×2
DDR4-3200 CL22
Video NVIDIA GeForce RTX 3080 Founder Edition
  内蔵GPU
Driver GeForce Driver 461.40 DCH WHQL
  Intel Graphics Driver 27.20.100.9220
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 10 Pro 日本語版 20H2 Build 19042.804

ところで表1だが、今回は色々注釈が付く。

(1) Memoryは、RyzenはどちらもDDR4-3200 CL22動作。一方Intelは

Core i9-10900K:DDR4-2933 CL21動作
Core i5-11600K:DDR4-3200 CL22動作。ただしGear 2
Core i9-11900K:DDR4-3200 CL22 Gear 1動作

となる(Photo23)。Core i5-11900Kについては、Gear 1とGear 2でどの程度差が出るかについては今回はレポートしない(データは取ってあるので後日)。

  • Photo23: Gear 1/2の設定。1:1がGear 1、1:2がGear 2となる。

(2) 今回はPCIe Gen4x4 NVMe M.2 SSDを利用しているが、ROG Maximus XIII Heroの場合は4つのM.2 Slotがあり(Photo24)、

Core i9-10900K:PCIe Gen3 M.2 #1を利用
Core i5-11600K及びCore i9-11900K:PCIe Gen4 M.2 #1を利用

という具合に差し替えを行っている。PCIe Gen4 M.2 #2はグラフィック用のPCIe Gen4 x16と共用になるので、ここを使ってしまうとGPUへの接続がPCIe Gen4 x8相当になるのでこれを避けた形だが、Comet Lake世代ではCPUからは(PCH接続用を除くと)16レーンしかPCIeが出ておらず、なのでComet LakeではPCIe Gen4 M.2 #1が利用不能になる。PCIe Gen3 M.2の方はPCHに接続されているのでどのCPUでも利用できるが、速度はPCIe Gen3に限られるため、Rocket Lakeでは利用を避けた。

  • Photo24: M.2 Slotの位置。

(3) OSそのものは日本語版を入れているが、地域と言語の設定を利用して英語環境で利用している。これは後述するProcyon対策である。

(4) 主要なベンチマークはGeForce RTX 3080と併せて行ったが、内蔵GPUの比較はIntelの3製品だけで行っている。

(5) 前回の記事では触れなかったが、Rocket Lakeの一部SKU(正確に言えばCore i9-11900KとCore i9-11900KF)ではABT(Adaptive Boost Technology)という新しいブーストメカニズムが搭載されている。このメカニズムが何をするのか、という話は該当するベンチマーク項目の所で紹介するが、原則としてこれはDisableとして実施している。

  • Photo25: この項目はCore i9-11900Kを装着した時だけ出現した。

色々面倒であるが、ご了承しただきたい。言うまでもない事だが、どちらのCPUもWindowsからは普通に認識された(Photo26,27)。

  • Photo26: 6コア12スレッドのCore i5-11600K

  • Photo27: 8コア16スレッドのCore i9-11900K

さて、グラフ中の表記であるが

  • R5 5600X:Ryzen 5 5600X
  • R7 5800X:Ryzen 7 5800X
  • i5-11600K:Core i5-11600K
  • i9-10900K:Core i9-10900K
  • i9-11900K:Core i9-11900K

となっている。また解像度表記は何時もの通り

  • 2K:1920×1080pixel
  • 2.5K:2560×1440pixel
  • 3K:3200×1800pixel
  • 4K:3840×2160pixel

とさせていただく。

◆PCMark 10 v2.1.2508(グラフ1~6)

PCMark 10 v2.1.2508
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

  • グラフ1

まずはおなじみこちらから。Overall(グラフ1)で見る限りはRocket Lakeはかなり健闘している感じで、特にCore i9-11900Kはいずれのテストでも最高速である。

  • グラフ2

  • グラフ3

Test Group(グラフ2)では、なぜかGamingでRyzenが強いという不思議な結果であるが、まぁ後は概ね理解できる。さて、まずは次のEssentials Score(グラフ3)。App StartupでCore i9-10900Kがそれなりに落ち込んでいるのはPCIe Gen3接続が要因ではあるが、ただ例えばCrystal Disk Markの結果の様に大差がつかないのは、SSDを直接アクセスしている訳ではなく、Windowsのファイルシステム経由でのアクセス=WindowsのDisk Bufferingが効いているのでそれなりに差が小さい、という結果によるものと思われる。

  • グラフ4

  • グラフ5

他で目立つのはグラフ4のProductivityで、妙にSpreadsheetsのスコアがCore i9-10900Kのみ低いというか、Rocket Lakeで大幅に性能が伸びた事だろうか。ただDigital Contents Creation(グラフ5)のPhoto EditingではRyzen 7 5800Xが最高速という具合に、必ずしも全部の項目でRocket Lakeが最高速という訳ではないし、Rocket Lakeが最高速のケースでもRyzen 7 5800Xもそれなりのスコアだったりするので、優劣を決めるのは難しいが、Core i9-10900Kに比べると確実に性能がアップしていることだけは確認できたかと思う。

  • グラフ6

面白いのはApplications(グラフ6)で、ExcelとPowerPointでは明確にRocket Lakeのメリットが出ている。特に差が顕著なのがPowerPointだが、殆どのテストはそれほど大きな違いがない。ただ、AddTextとAddImageの2つのテストだけは差が大きく

AddText AddImage
Ryzen 5 5600X 0.68 0.07
Ryzen 7 5800X 0.71 0.07
Core i5-11600K 0.73 0.07
Core i9-10900K 0.22 0.03
Core i9-11900K 0.19 0.03(単位:sec)

となっていて、2倍~3倍ほどRocket Lakeの処理が早い結果になっている。何でこんな風に違うのか、はここでは判らないが、意外に通常のOffice Applicationの性能にも影響がある事が判る。

◆Procyon v1.0.183(グラフ7)

Procyon v1.0.183
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/procyon

昨年12月に発表された、Professional向けベンチマーク。AI Inference、Photo Editing、Video Editingの3つからなるが、このうちAI InferenceはターゲットがAndroid搭載スマートフォンであり、PC向けはPhoto Editing(Photo28)とVideo Editing(Photo29)の2つである。

  • Photo28: Photoshopを利用したレタッチ操作、それとLightroom Classicを利用したバッチ処理のテスト。意外に時間はかからない。

  • Photo29: こちらはひたすらPremierをぶん回す。結構時間が掛かる(構成にもよるが概ね1時間以上)。

このベンチマークの特徴はPCMark 10同様に実際のアプリケーションを利用してテストを行う事である。昔、PCMark 8でPhotoShopやInDesign、AfterEffectsなどを使ったテストを利用可能にしていた時期があるが、それの最新版という格好だ。Photo EditingではAdobe PhotoshopとLightroom Classic、Video EditiongではAdore Premier Pro(と、そこから呼び出すAdobe Media Encoder)を利用する。なのでテストマシンにこれらのアプリケーションをインストールした状態でないとテストが出来ない(筆者はこのためにCreative Cloudを契約した)。

さて当初v1.0.172がリリース、次いで修正を施したv1.0.180がリリースされ、当初これを利用してベンチマークを行っていたのだが、このv1.0.180は英語版のAdobe Creative Suiteを前提に構築されており、なので日本語環境(でCreative Suiteが日本語表記)になると動作しないという問題が発生した。これの回避のために筆者は今回、日本語版のWindows 10をインストールしながら、言語環境を英語版に切り替える羽目になった。

ちなみにこの問題はv1.0.183で解消され、マルチロケールのCreative Suiteで動作する様に変更されているが、もう既に英語環境でデータを大量に取ってしまったので、そのまま英語環境で最後まで通した格好だ(ちなみにULによれば、v1.0.180とv1.0.183では結果に互換性があるので、別に再テストの必要は無いとは言われている)。

Procyonのテストの詳細はこちらに公開されているので興味ある方は参照していただきたいが、今回は結果だけ。

  • グラフ7

グラフ7がその結果だが、PhotoEditingとVideo EditingがOverallで、PhotoEditingについては更にBach Processing(Lightroom Classicの処理)とImage Retouching(Photoshopの処理)のサブスコアが示される(VideoEditingにはサブスコアはなし)。まぁ高ければ高いほど良い訳であるが、とりあえずComet LakeのCore i9-10900Kがやや落ち込んでいるが、逆にRyzen及びRocket Lakeはそう大きな差がなくみんな健闘している、といった格好。6コアのRyzen 5 5600XやCore i5-11600Kでもそれなりのスコアになっている(少なくともCore i9-10900Kよりは高速)というあたり、Rocket Lakeは大体Ryzen 5000シリーズと同等の性能になった、として良い様に思われる。

◆CineBench R23(グラフ8)

CineBench R23
Maxon
https://www.maxon.net/ja/cinebench

最新版はApple M1をNative SupportしたR23になっており、以前のテスト結果とは互換性が無くなっているので注意してほしい。

  • グラフ8

という事で結果だが、One CPUでは確かにCore i9-11900Kが最高速、All CPUでは唯一の10コアであるCore i9-10900Kが健闘しているが、8コアのRyzen 7 5800XとCore i9-11900Kがあまり変わらない数字、というあたりがコアの性能を示している様に思える。この結果だけ見れば「Rocket Lakeすげー」になるのだが、歯切れが悪い理由はあとで消費電力の比較のところで説明したい。

◆POV-Ray V3.7.1 Beta9(グラフ9)

POV-Ray V3.7.1 Beta9
Persistence of Vision Raytracer Pty. Ltd
http://www.povray.org/

  • グラフ9

以前こちらのPOV-Rayの項目で説明したように、ややIntelに有利な構成になっているPOV-Ray V3.7.1であり、それもあってCineBenchに比べるとIntelがAMDを明確に上回る結果になっているが、この結果としてCore i9-11900KはついにOne CPUの場合に700ppsを超える性能を叩きだしており、これは立派な数字だと思う。All CPUだとやはり10コアのCore i9-10900Kが辛うじて逆転しているが、逆に言うとこうしたコア数がモロに効くアプリケーション以外Comet LakeはRocket Lakeを下回る性能に留まるという意味でもある。

◆TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.19.21(グラフ10)

TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.19.21
ペガシス
http://tmpgenc.pegasys-inc.com/ja/product/tvmw7.html

  • グラフ10

こちらもコア数が効くベンチマークだけに、最高速という意味ではCore i9-10900Kが最大で14.59fpsを叩きだすが、それよりコアが2つ少ないCore i9-11900KやRyzen 7 5800Xも14fps超えをしているあたりでIPCの向上は確実に実感できると思う。純粋にエンコード速度だけで比較すればRocket LakeがRyzen 5000シリーズを上回っている訳だが、その差はそれほど大きくないうえに、色々副作用もあるあたりは微妙である。あと不思議なのは、Core i9-11900Kの場合、4 Streamよりも2 Streamの方がエンコード速度が僅かに上がる事だろうか。

◆DxO PhotoLab 4 V4.2.0.4522(グラフ11・12)

DxO PhotoLab 4 V4.2.0.4522
DxO Labs
https://www.dxo.com/ja/dxo-photolab/

前回ちょっと触れたが、DxO PhotoLab 4が昨年10月に発表された。目玉の一つはノイズ除去にAIを利用するDeepPrimeを搭載したことで、今回のテストではこれを有効にしている。現像ソースは前回と同じく、α7 IIとα7 IVのRAW画像(24MPixel及び61MPixel)で、処理性能をPPM(Pictures per minutes:毎分あたりの現像枚数)で示している。

  • グラフ11

  • グラフ12

さてテストは同時処理枚数を4/8/12/16枚と変化させながら行っており、概ね8枚あたりが一番効率の良い結果になっているが、それはともかくとしてα7 II(グラフ11)とα7 IV(グラフ12)のどちらのケースでも最高速なのはRyzen 7 5800Xで、Core i9-11900Kがこれに僅差で続くという感じになっている。6コア同士でも、概ねRyzen 5 5600Xの方が高速という結果であり、勿論Core i9-10900Kに比べるとずっと高速化はされているが、微妙にRocket LakeがRyzen 5000シリーズに追いつかないという結果になった。

◆3DMark v2.17.7173(グラフ13~16)

3DMark v2.17.7173
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

Photo03でも"Designed to Game"とはっきり書いてある訳で、やはりメインは3Dということになる。そんな訳でまずは3DMarkを。

  • グラフ13

  • グラフ14

このテストの場合、基本的にはGPUの性能が問われるわけで、違いはCPU/Physics Testの処理ということになる筈である。Overall(グラフ13)を見ると、相対的にGPU負荷の低いNightRaidでは結構性能差がが出るが、その先はGPU負荷が上がる事もあって性能差は殆ど無い、という一応正しい結果になっている様に見える。ところがグラフ14を見ると、意外にもそのNightRaidでGraphics Testの値が大きく変動するという結果になっているのはちょっと謎である。ただこれを例外とすれば、後は概ね同等(より負荷の軽いWildLifeを含む)である。

  • グラフ15

逆にCPU性能がそのまま出てくるのが次のCPU/Physics Test(グラフ15)で、古いFireStrikeのPhysics EngineではRyzen系が有利(逆にRocket Lakeは今一つパッとしない)だが、それ以外ではIntel系が有利である。ただ多数のオブジェクトの計算が入る=コアの数が多い方が有利なTimeSpyではCore i9-10900Kが最高速なのはまぁ仕方がないだろう。ただここでも全体を通して大差、というほどの結果が付いてるのは辛うじてNightRaid程度で、あとはそう大きな差とは言えない。

  • グラフ16

最後がCombined Test(グラフ16)だが、Physics Testの影響でGPU負荷の低いFireStrikeだけRyzen 5000が有利なものの、GPU負荷が増えるFireStrike Extremeではその差が縮まり、猛烈にGPU負荷が増えるFireStrike Ultraでは横並びという、まぁ当然の結果になった。