円谷プロが1966年に作り上げた特撮テレビヒーローの金字塔『ウルトラマン』全39話を最新技術によってクリアな映像にレストアし、さらに製作当時のスタッフ、キャスト、ウルトラマンに影響を受けた各界のクリエイター、文化人など総勢69人の貴重な証言=Premium Talkを一挙収録したPremium DISCが付属するBlu-rayソフト「ULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラマン』MovieNEX」が、2020年11月25日より発売される。
『ウルトラマン』は2013年にも「HD Remaster2.0」としてBlu-ray BOXが発売されたのだが、今回の「ULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラマン』MovieNEX」では7年前では不可能だったとされる"適度な粒状性を残しつつ細かなノイズを除去"を行い、よりいっそうクリアな質感を実現。近年の高画質・大画面TVでの試聴に適した「HD Remaster3.0」として、新たに生まれ変わった。
最新映像ソフトの発売を記念して、『ウルトラマン』全39話で数々の怪獣・宇宙人と戦ったわれらのヒーロー・ウルトラマンを演じた俳優・古谷敏にインタビューを敢行した。『ウルトラQ』(1966年)から始まった「空想特撮シリーズ」の第2弾にして、特撮テレビヒーローのエポック的存在となった『ウルトラマン』。50mクラスの巨大怪獣と真正面から組み合って、鮮やかな必殺技を決めるウルトラマンのアクションスタイルは、それまでに例のない"巨大な宇宙人ヒーロー"を演じた古谷の汗と涙と努力があってこそ生まれたものだといえる。
放送開始から54年という長い年月が過ぎてなお若々しさを失わない古谷から、円谷プロ創設者にして偉大なる特技監督・円谷英二氏から受けた"言葉"や、ヒーローアクションに対する自身のこだわり、共によい作品を作ろうと努力を重ねた"仲間"たちとの思い出、そしてウルトラマンと怪獣の世界を心から楽しんでいる多くの"子どもたち"への優しい視線……といった貴重な証言の数々が、スマートかつエネルギッシュに語られた。
――先日、東京ドームシティ(GalleryAaMo)にて開催されていた『特撮のDNA展-ウルトラマンGenealogy』(9月5日~10月18日)では、円谷プロの第1回作品『ウルトラQ』から最新の『ウルトラマンZ』(2020年)まで、歴代円谷特撮ヒーローのマスクや防衛チームのミニチュアなどがズラリと並んで、親子連れや特撮ファンを楽しませていました。古谷さんもオープニングレセプションやトークイベントに出演されていましたが、最初の『ウルトラマン』でご自身が被っていたウルトラマンのマスクや、カラータイマーなどの展示を今一度ご覧になって、どんな感想を抱かれましたか?
改めて、成田亨さん(彫刻家・画家/ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンの特撮美術監督を務め、多くの人気怪獣やメカニック、装備などをデザイン)が一番初めに作り上げた"初代ウルトラマン"の姿はカッコいいと思いました。あのマスク、僕の顔の寸法を測って作ってもらったものですから、自分の顔が展示されているような感じ。感慨深かったですよ。
――2021年に公開予定の映画『シン・ウルトラマン』に登場するウルトラマンの"ひな型"も展示されていましたね。あのウルトラマンは、古谷さんの演じられた初代ウルトラマンと、成田さんが描かれた油彩画「真実と正義と美の化身」をもとに作られたそうです。ウルトラマンの"原点"を追求するという『シン・ウルトラマン』の姿勢については、いかが思われますか。
やっぱり、うれしいのひと言ですよ。とにかく、原点に還ってくれたというのが最高です。成田さんのデザインをふたたび形にしたいという、その気持ちがありがたい。初代ウルトラマンに入っていた僕の体型も意識してくれているんだそうですね。そういう話を聞くと、今まで元気にやってきてよかったなって思います。ウルトラマンをずっと愛し続けてくださっているファンのみなさんがいてくれたからこそ、でもありますね。みんながウルトラマンを大事に思ってくれた、そのことが一番うれしいんです。
――『ウルトラマン』は54年前の本放送で日本に"怪獣ブーム"を巻き起こしました。その後も再放送や劇場映画化、映像ソフト発売などが繰り返し行われることで数回にわたって大きなブームを呼び込み、新しいファンを次々と生み出しました。今や2世代、3世代にわたってウルトラマンやウルトラ怪獣に心奪われているファンの方々が、多く存在しています。時代に応じて新しいウルトラヒーローもたくさん登場しましたが、原点たる初代ウルトラマンの人気は不動であり、世代を超えて支持され続けていますね。
『ウルトラマン』は、円谷英二さん(円谷プロ創設者/特技監督として1954年公開『ゴジラ』などの東宝特撮映画で手腕をふるった"特撮の神様")を"オヤジさん"と呼んで慕う若いスタッフたちが集まって作っていたんです。尊敬する円谷監督が"監修"を務めるわけだから、いいかげんなものはお見せできない。みんな一生懸命、時には徹夜をしながらいい作品を作ろうと頑張っていました。そんな思いが、高いクオリティの映像となって表れているんです。その精神は、後のウルトラマンシリーズにもずっと受け継がれていると思います。
円谷監督とは、僕が初めてウルトラマンのスーツを着てスチール撮影会に出たとき、少しだけお話をしました。円谷監督からは「苦しいけれど、ウルトラマンは子どもたちに"夢"を与えるんだから、頑張りなさい」と言葉をかけていただきました。この教えを守って、ウルトラマンの撮影を頑張ってきたんです。今でも、ウルトラマンを通じて子どもたちに"夢"を与えられたらいいなという気持ちは忘れていないですし、これからもずっと円谷監督の教えは守っていきたいです。