◆消費電力(グラフ101~105)

最後にこちらを。まずグラフ101~104が順に

  • 3DMark FireStrikeのDemo
  • FF15 Bench(2K、高品質、フルスクリーン)
  • Metro Exodus(2K、Ultra)
  • Shadow of the Tomb Raider(2K・Highest)

のそれぞれの最初から最後までの消費電力変動を測定したものだ。Metro ExodusとShadow of the Tomb Raiderでは、Ray Tracing有効/無効の両方を測定している。

  • グラフ101

  • グラフ102

  • グラフ103

  • グラフ104

  • グラフ105

この中では、CPU負荷が一番小さい(そして描画負荷も恐らく一番小さい)3DMark FireStrike Demo(グラフ101)のみ、Radeon RX 6800 XTとGeForce RTX 3080、Radeon RX 6800とGeForce RTX 3070がどちらもほぼ同じ消費電力で推移している。ただもっと描画負荷が上がると、明白にRadeon RX 6800系の消費電力が下がっているのはグラフ101~103から見て取れると思う。この各々のフル稼働中の平均値を取ってまとめたのがグラフ105であるが、ラフに言って

  • Radeon RX 6800 XTはGeForce RTX 3080よりも30Wほど消費電力が低い
  • Radeon RX 6800はGeForce RTX 3070よりも10~30Wほど消費電力が低い

として良いかと思う。

考察 - 上位GeForce対抗に十分な性能、今後にも期待

ということで久々にグラフの数が多くなって申し訳ありません。ただ全体を通してみると

  • Radeon RX 6800 XTは、確かにGeForce RTX 3080と互角以上の性能を実現しており、しかも消費電力は多少ではあるが低くなっている。メモリも16GB搭載しており、これもメリット。ただしRay Tracing性能は過度に期待してはいけない。
  • Radeon RX 6800は、十分GeForce RTX 3070を上回る性能を実現しており、消費電力も若干ではあるが低くなっている。定価では$50ほど上回っているが、16GBメモリと性能差を考えれば十分価格差に見合うと言える。ただこちらもRay Tracing性能は期待してはいけない。

というあたりだろうか。とりあえず今すぐRay Tracing性能が必要、という人はGeForce RTX 3000シリーズを選んだ方が幸せになれるだろう。もっともAMDはこれがRay Tracingの第1世代であり、既に第2世代のNVIDIAに最初から拮抗するというのはちょっと無理だと思うし、まだそこまで広くRay Tracingが普及している訳ではない(GeForce RTX 3080ですら、まだフルにRay Tracingを使おうとすると2K~2.5Kあたりが実用上の限界である)事を考えれば、そこまで大きなネガティブポイントになるとは思えない。

特にインパクトがあるのは、XTではないRadeon RX 6800の方だろう。もともとGeForce RTX 3070とGeForce RTX 3080の間の性能ギャップがかなり大きいのは気になっていたのだが、Radeon RX 6800は見事にこの間隙を、しかもたったの$50の追加コストで埋める事に成功した。NVIDIAとしては、GA104をベースにカットダウンバージョンのGeForce RTX 3070 Tiとかを出さない事には対抗できそうにないが、価格と消費電力の両面で果たしてRadeon RX 6800に対抗できるかどうか、やや疑問が残る。その意味でも、筆者の一押しはRadeon RX 6800である。すごくバランスが良い製品に仕上がった、というのが偽らざる感想である。

ところで、ここにきて堰を切ったように新しい製品が続々とリリースされている状況だ。今回はちょっと時間の関係で、色々と出来なかったテストもある。またAMDにはまだハイエンドのRadeon RX 6900 XTが控えている。このあたりは後追いでレビューをお届け...できるんだろうか?