◆PCMark 10 v2.1.2506(グラフ84~89)
PCMark 10 v2.1.2506
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10
3D性能は以上にして、最後に2つほど非3D系を。まずはPCMark 10。もうこれは差が出るのがおかしい筈のベンチで、あくまで確認である。で、「差が出るのがおかしい」とか書いておきながら、まずOverall(グラフ84)では明確にRadeon RX 6800系が低い結果になっている。
ただ何が差の要因か? ということでTest Group(グラフ85)を見ると、Productivityのみが主因ということが判る。実際Essentials(グラフ86)では大差ないし、Digital Contents Creations(グラフ88)もむしろRadeon RX 6800優勢である。ではProductivityは? ということでグラフ87を見るとSpreadsheetsの成績が妙に大差が付いている。これ、Radeon RX 5000シリーズの時も同じだったが、要するにOpenCLのサポートの問題である。
実際、幾つか生の数字で示すと表2の様になる(単位:秒)。これはそれぞれの処理の所要時間で、要するにOpenCL系を使う処理が軒並み遅い(特にモンテカルロ法の計算とかエネルギー市場のシミュレーションとかは1桁以上遅くなっている)のが主要因である。逆にこれ以外の処理の時間は殆ど変わっておらず、様子にOpenCLは苦手、というのが再確認された格好だ。
■表2 | ||||
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項目 | GeForce RTX 3070 | GeForce RTX 3080 | Radeon RX 6800 | Radeon RX 6800 XT |
Compute | 1.32 | 1.32 | 4.39 | 4.50 |
Compute2 | 2.15 | 2.15 | 5.03 | 5.14 |
MonteCarloOcl | 0.66 | 0.53 | 8.71 | 9.00 |
EnergyMarketOcl | 0.50 | 0.45 | 6.08 | 6.32 |
逆にOffice 365を使うApplication Score(グラフ89)では、多少バラつきはあるものの大きな性能差はみられない。
◆Sandra 20/20 2020.11.30.80(グラフ90~100)
Sandra 20/20 2020.11.30.80
SiSoftware
https://www.sisoftware.co.uk
最後にそのGPGPU周りのテストを。こちらでもちょっと触れたが、GPGPU Processing周りのバグ修正が入ったようで、今回は割と真っ当な結果になった。
まずグラフ90・91がGPGPU Processingである。Half/Single FloatだとGeForce RTX 3000系が有利だが、Double/Quad FloatになるとRadeon RX 6800系が有利というのは、別にFP64の演算器がRDNA 2に入ってるわけではなく、恐らくは128MBのInfinity Cacheが効果的に作用しているものと思われる。というのはGeForce RTX 3000系とRadeon RX 6800系、どちらもエミュレーション動作になるのは同じであり、大量の演算をエミュレーションで動かす関係で、とにかくメモリアクセスが増える。ここでL3ともいう位置づけで128MBもの容量を持つInfinity Cacheがあることで、メモリアクセスを余儀なくされてこれがボトルネックになるGeForce RTX 3000系を大幅に上回る性能を実現できたものと想像される。
グラフ92~94はCrpytography系であるが、もともとOpenCL系は苦手なRDNA 2だけに、それでもEncryption/Decryption(グラフ92・93)でこの程度の性能が確保できただけでもRadeon RX 6800系は健闘していると思う。
よく判らないのがHashing(グラフ94)。SHA1/SHA2-256で異様にRadeon RX 6800系の性能が高いのは、これもInfinity Cacheの功績だろう。判らないのはSHA2-256のGeForce RTX 3000系で、CUDAとOpenCLであまりに性能差がありすぎる事だ。SHA1やSHA2-512では同程度なだけに、なんでSHA2-256だけこんなに性能があるのか、ちょっと謎である。
グラフ95~97はFinancial Analysisだが、これもRadeon RX 6800系は演算速度の遅さそのものをInfinity Cacheで多少救われている(逆にGeForce RTX 3000系は演算速度こそ高いのに、メモリアクセスで足を引っ張られている)という感じだ。この傾向は次のScientific Analysis(グラフ98~100)でも共通である。