――cadodeさんには“虚無感と情動”のほかに、“誰かの生きづらさを熱量に変える”というコンセプトもありますが、この生きづらさというのは?

koshi 生きづらさは一種類ではないと思いますが、そのひとつが、「居場所がどこにもない感覚」なのではないかと思います。社会不適合という言葉でまとめられがちですけど、僕はその言葉がすごく嫌いで。人間はどうあがいても人間としてそこに存在するので、むしろそこに居場所を用意できない社会の不完全さ、未熟さを感じるんですよ。

eba この3人とも一回就職して辞めている人の集まりなんですけど、生きづらさを抱えながら生きてきて、音楽にたどり着いたみたいなところがあるので、そういう意味では、そういう人たちに、今度は僕らが居場所を提供できるのではないかと。

――とはいえ、音楽によって生きづらさから開放されたわけではないですよね

koshi もちろんです。その意味では、cadodeというプロジェクトそのものがその途上であって、別に満たされたからどうにかなるわけでもありませんが、このプロジェクトで居場所を見つけたいという感じですね。僕自身、生き方は見つけたけれど、生きづらさそのものが無くなったとは思っていません。

eba ただ、その生きづらさを熱量に変換することが、僕たちは上手くできていると思っています。

――その熱量というのがcadodeさんにとっては音楽になるわけですね

koshi そうですね。自分たちを表現ができているので。

eba そういう意味では、エネルギー源は無限にある。

――生きづらさをそのままぶつけるのではなく、熱量に変換するわけですね

koshi 社会を目の前で批判したところで、その人たちに届くかという話にもなりますし、僕たちはあくまでもポップに音楽を届けたい。一回でも受け取ってもらえないと咀嚼できないので、ある程度、みんなが受け入れやすいものを作りつつ、ゆるやかに社会が変わっていくための、何らかのきっかけになれればいいなと思っています。

eba みんなの“門出”になるような音楽を作っていきたいんです(笑)。

koshi これを自分で言って笑っちゃうのがダメなんですけど(笑)。

eba これをまっすぐ言えないところがひねくれている(笑)。

――今後の活動、展開について考えていることはありますか?

eba とにかくこだわらずにやっていきたい。アーティストだから絶対にライブをしないといけないとか、そんなことを考えずにもっと自由に。一つに決めてしまわず、音楽性と同じように活動もいろいろと変化していけたらいいなと思っています。

koshi かつて、ブランディングみたいなことにこだわりかけたことがあったんですよ。ジャンルが定まっていないのであれば、せめて見え方だけでもある程度きちっとしないといけないと思っていたのですが、どちらかというと今は、やりたいことはもっと変幻自在でいいと思っていますし、逆にそちらを徹底したほうがいいような気もしています。

――その上でcadodeらしさを出すという感じでしょうか?

eba それは勝手に出てくると思います。

koshi 僕たちがやっている以上、絶対にそうなります。それだけは確信があって。どんなジャンルの音楽をやろうが、そこだけはぶれないという自信があるので、突っ走っていける。今までいろいろなジャンルの曲を作ってきたことによって、それが確信になった感じです。

――何ならジャンルはcadodeでもいいくらいですね

koshi むしろcadodeというジャンルで認識されたいです。

eba 野望とは言いませんが、cadodeというジャンルができたらいいなと本当に思っています。

――それでは最後にメッセージをお願いします

koshi 僕は楽曲と歌に想いを込めきってしまうタイプなので、まずは曲を聴いていただけたらとても嬉しいです。。生きづらい人も、そうでない人も、気軽に聴いてもらえる曲になっていると思います。夜中に停滞感を感じることがある人にとって、新たな門出になれればいいと思っています。よろしくお願いします。

――ありがとうございました

cadodeの新曲「誰かが夜を描いたとして」は各配信サイトにて配信中。各詳細は公式サイトにて。