納得のパワーで重い動画編集も軽快
では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。ENVY 15はCPUやディスクリートGPUの動作モードを専用ツール「HP Command Center」で変更できるが、今回は最も高い性能を発揮する「パフォーマンスモード」に設定してテストを行っている。
まずはPCMark 10の結果だが、高いスコアはさすがハイエンドモデル。これだけの性能が発揮されるなら、画像や動画の編集作業も軽快に行えるはずだ。
結果スコアの下には、テスト実行中のCPU動作クロックの推移を示すグラフで表示されているが、そちらを見ても安定して高クロックで動作していることがわかる。これは、CPUやディスクリートGPUの冷却がしっかり行われているからだ。
ENVY 15では、ベイパーチャンバーと大型空冷ファン×2基を組み合わせた、ゲーミングPCに匹敵する冷却システムを採用。CPUやディスクリートGPUの熱を、効率的に冷却できるようになっている。ベンチマークテストの結果からも、冷却システムがしっかり働いているといっていいだろう。
次にCPUの処理能力を計測するCINEBENCH R20の結果だが、非常に優れたスコアとなった。「CPU」のスコアが「3358」、「CPU(Single Core)」のスコアが「503」だ。搭載CPUのCore i9-10885Hは8コア16スレッド処理に対応しており、マルチスレッド処理時には圧倒的な性能を発揮。これなら動画編集も高速に処理できるだろう。
続いて3DMarkの結果だが、こちらも納得の好結果。ゲーミングPCとしても十分活用できそうだ。
なお、高負荷時の冷却システムは動作音がそれなりに大きい。本体の右側面に排気口があるため、高負荷時に本体右側でマウスを操作する場合、排熱が気になるかもしれない。
最後に、内蔵ストレージの速度をCrystalDiskMarkでチェックしてみた。結果を見ると、シーケンシャルアクセスでリード、ライトともに3400MB/sを超えるなど、非常に高速だ。ENVY 15は先に紹介しているように、PCIe/NVMe SSD×2基を搭載してRAID 0構成とすることで、容量と速度を両立。テストからも納得の速度が確認できた。これなら大容量データも短時間でコピーでき、作業効率を高めてくれるはずだ。
ENVY 15は、従来モデルまでのENVYシリーズの立ち位置であるプレミアムモバイルPCから大きく方向性を変え、クリエイターをターゲットとしたノートPCへと変貌。クリエイター向けPCでは必然的にパワーが必要となり、ENVYシリーズのプレミアムラインということでデザイン性も追求する必要があるなかで、ENVY 15は双方とも妥協なく実現しているという印象で、完成度は非常に高い。
近年、クリエイターやハイエンドアマチュア層が利用するPCとしてゲーミングPCを選択する例も増えているが、ゲーミングPCでは派手な装飾やイルミネーションなどが盛り込まれるため、どうしてもそれらがジャマに感じられる場面もある。しかし、ENVY 15ならそういった心配も無用。オフィスで使う場面でもデザイン的に浮くことがないし、デザイン性にこだわる人でも安心できるはずだ。クリエイティブ用途に活用する高性能ノートPCを探している人にとって、とても魅力的な選択肢になるだろう。