2018年はHBM2の導入に続き、NVIDIAがGDDR6をサポートしてGeForce RTXシリーズを出荷した。そして2018年末にJEDECが12Stack構成となるHBM2の標準化を完了したというニュースが入ってきた。2019年はどうなるだろうか?
Photo06は、やはりTechInsightsのDRAM Technology Roadmapである。これはメーカー別というよりは、関連技術とかのロードマップである。一番下のMobile,HB&Graphicsという項目に、おおざっぱなロードマップが示されている。
まずGDDR系について。GDDR6のSpecificationが、JEDECで標準化し終えたのは2017年7月である。2018年にはSK Hynixが量産準備が整ったとアナウンスし、現在トップ3社(Samsung、SK Hynix、Micron)がGDDR6の量産を開始している。
2019年はGeForce RTXシリーズに加えて、GPU編でちらっと出てきたGeForce GTX 11xxシリーズ、そしてAMDのNaviもGDDR6を利用することになるだろう。2020年にはIntelのX^eのコンシューマ向けDiscreteカード製品も、GDDR6を採用することになると思われる。
そんなわけで2019年~2020年にかけて、GDDR6がGDDR5/GDDR5Xを置き換えてGPU向けメモリの主流になると考えられる。
しかし、この先のGDDR7に関しては、まだJEDECでもTechnical Working Groupが形成される以前の、Study Groupのレベルであって、仕様策定をするか否かというレベルでまだ判断がなされていない。
ロードマップでは2020年末からLPDDR6/GDDR7が記されているが、これは「やるとすればこのあたりから」という以上の話ではない。まぁ少なくとも現状ではPost DDR6を語るのは早すぎるだろう。
2019年はGDDR6で大容量化が進む?
さて、2019年中は特に変化がないか? というと、GDDR6が主流であることは間違いないが、多少バラエティが出てくるものと思われる。現状GeForce RTXは全て14Gbps品を利用しているわけだが、現時点でのメモリメーカーのラインナップを見ると
- Samsung:14/16Gbpsの8/16Gbit品を用意(16Gbpsは8Gbitのみ)
- SK Hynix:10/12/14Gbpsの8Gbit品
- Micron:10/12/13/14Gbpsの8Gbit品
といった具合になっている。Samsungのみ16Gbpsをラインナップしてるのは、今後の将来製品への展開に向けたものだろう。逆にMicronの13Gbpsも面白いが、このあたりはGPUメーカーというよりは、OEMメーカーからの要望に応えるためのものと思われる。
この先、GDDR6を利用する製品が増えてくると、メインストリームとかエントリ向けには10/12Gbpsといった製品が使われ始めるだろうし、さらに上を狙うトップエンド/OC向けにはより高速なチップが望まれるというわけだ。
ただ16Gbpsを超えるためには、一層のプロセス微細化(Samsungなら1znm世代、SK hynix/Micronでは1ynm世代)が必要で、当面これはDDR5向けになることを考えると、16Gbpsを超えるラインナップが用意されるのは2019年の後半というか、かなり遅い時期になるだろう。
むしろありえそうなのは容量の増加だ。JEDECのJESD250Aによれば、GDDR6世代では
- 8Gbit : 2ch×256Mbit×16 or 2ch×512Mbit×8
- 12Gbit : 2ch×384Mbit×16 or 2ch×768Mbit×8
- 16Gbit : 2ch×512Mbit×16 or 2ch×1024Mbit×8
- 24Gbit : TBD
- 32Gbit : TBD
ということで最大32Gbitまでの仕様が用意されている。ただ24/32Gbitに関しては、JESD250Aではまだ詳細が規定されておらず、将来(JESD250B)定められる予定で、現状では最大16Gbitとなる。
いまはSamsungのみがこれを手掛けているが、各社とも遠からず12/16Gbit品をラインナップしてくるだろう。メモリ容量のラインナップがさらに増えるということで、喜ばしいと思うのか選ぶのに迷うと思うのかはユーザー次第ではあるが、とにかく現状の8Gbit品のみ、という状態から変わることは確実と思われる。
HBM2はサーバー向けなのは変わらず
これに比べるとやや動きが鈍いのがHBM2である。先で紹介した通り12 Stackの仕様が定まったので、Samsungあたりは2019年中に12GbitのStackを発表するかもしれないが、もう各社量産に入ったとはいえ、やはりGDDR6に比べると「同じ容量だと」数倍の価格差はなかなか埋まらないようだ。
結局、サーバー向けのアクセラレータ(GPU/FPGA/etc)とHPC向けプロセッサなど、ごく一部の用途に限られる状況は2019年中も変わらない。まぁコンシューマ向け製品は全てGDDR6にシフトすると思われるので、自作と言う観点で言えばあまり問題はないのだろうが。