Web認証に期待が膨らむMicrosoft Edge
外部からは「追いつけ追い越せ」を合い言葉に開発を進めているように見えるMicrosoft Edgeだが、バージョン1809でも各所に改善が加わっている。個人的にWindows 10 Insider Preview時代から便利に感じていたのが、設定のサブメニュー化だ。
本来であればファーストバージョンから搭載すべき機能だが、Microsoft Edgeは根幹的なレンダリングや後述するビューアー機能に引っ張られ、若干ながらUI面がないがしろにされていたように見える。ここに来て、ようやく全体的な見直しを図ってくれた。
他方でWebサイトごとのメディアコンテンツに対する制御も可能にしている。最近は動画広告も当然のように増えており、快適なWeb閲覧も難しくなってきた。他のライバルWebブラウザーも供えてきたメディア制御機能だが、Microsoft Edgeも本バージョンからサポートした。
「許可」を選択した場合はWebのタブを前面表示した際にメディアを再生し、「制限」を選択していた場合はページ内任意の箇所をクリックすると自動再生が始まり、その情報は記憶する。「ブロック」は文字どおりコンテンツを抑制して、数ステップの操作でメディアを再生する仕組みだ。
PDFやEPUBなど電子書籍を閲覧する機能も強化されているが、個人的にはWeb Authenticationのサポートに注目したい。Windows HelloなどFIDO2に準拠したデバイスを用いて、Web認証を可能にするというもの。読者諸氏もご承知のとおりEコーマスサイトで買い物する際はパスワード入力を求められるが、本機能が普及することで認証処理を代替できる。
もちろんWeb側の対応が必要となるが、本機能はW3Cが2018年3月に候補推奨へ押し上げ、Microsoft Edgeに限らず多くのWebブラウザーがサポートすると思われる。だが、Windows HelloのようにFIDO2デバイスを標準機能とするため、他のWebブラウザーと比べてもMicrosoft Edgeの優位性は若干高い。一方でMicrosoft Edgeのシェア率を踏まえると普及が加速するとは断言できないが、充分に期待できる機能であることは確かだ。
Windows Mixed Reallyの改善
複合現実コンテンツのプラットフォームであるWindows Mixed Reality(Windows MR)にも改良が加わった。ヘッドスピーカーとPCのスピーカー両者に音声の同時出力を可能にし、ヘッドセットを装着していない人と共に複合現実コンテンツを楽しめる。
もう1つ紹介したいのが「懐中電灯」機能だ。複合現実コンテンツを楽しんでいる合間に、コントローラーのボタンを押すと現実世界をヘッドセットのディスプレイ内に映し出すというもの。ちなみに下図は新たに加わったポータルだ。
仮想現実やゲームという文脈では、DirectX Raytracingのサポートも興味深い変更点の1つ。こちらは筆者も環境を用意できないため、公式ブログの解説にとどまるが、Microsoftは本機能を用いることで、「従来のラスタライズでは到達できないレベルでゲームを楽しめる」と説明する。
上図は公式ブログより抜粋したゲームタイル「Battlefield V」の1シーンだが、戦場を走行中の自動車もDirectX Raytracing無効時は極めてわずかに反射が描画されているものの、有効時は爆発効果が車体に描かれている。現時点では対応タイトルも限られ、最新のGPUを購入する必要があるものの、PCゲーム愛好者には興味深い機能だ。
同じゲームという文脈ではゲームバーの刷新も注目に値する。下図をご覧になるとお分かりのとおり、従来の横長から縦長のレイアウトに変更され、各種音声のボリュームを個別に変更できるようになった。