―― 今回の新製品「ルンバ e5」(以下、e5)も、日本のユーザーニーズに応えたモデルだそうですね。

挽野氏:はい。e5では、ダスト容器を水洗いできるようにしていますが、これは以前からずっと、日本のお客さまからご要望が非常に多かったものです。従来はダスト容器の部分にモーターがあったので、水洗いができなかったのですが、e5ではダスト容器とモーターを分離させました。

  • 新製品の「ルンバ e5」

―― ルンバはリビングで待機させていることが多いので、ダスト容器にゴミが残っていると気になりますからね。

挽野氏:ゴミを捨てても、静電気でくっついて細かいゴミが取れないのが不満だという声をいただいていました。水洗いできれば、こうした不満を解決できます。こういう細かいところを大切にしています。

  • ルンバ 980(左)とe5(右)のダスト容器を比べると、e5はモーターがないぶん小さくなりました

  • ダスト容器が水洗いできるようになりました。これでいつでも清潔です

―― ほかにも、ユーザーの声を反映した部分があったら教えてください。

挽野氏:ロボット掃除機の購入を躊躇する理由を調査すると、「本当にキレイになるのか不安」という声がよく聞かれます。自分で掃除すると「やった感」がありますし、自分で細かいところまで掃除できるので、ロボット掃除機に任せるのは不安なようです。しかし、ルンバの強みは清掃性能。安心して部屋の掃除を任せられます。その秘密は独自のデュアルアクションブラシです。

  • デュアルアクションブラシは、2本のゴム製ブラシのこと。デュアルアクションブラシが浮き上がらせたゴミを、ハイパワーモーターユニットで吸引します

―― 他社が毛状のブラシを採用しているのに対し、御社のブラシはゴム製ですね。

挽野氏:ゴム製ブラシの優れている点は、髪の毛やペットの毛が絡みにくいことです。デュアルアクションブラシの形は絶えず進化しているので、他のシリーズとe5とでは、ブラシの形状が違います。

ロボット掃除機は掃いたゴミを集めるちりとりではありません。掃除機としてゴミを吸い込むことが大切です。ゴム製のブラシを搭載しているのは、当社製品だけです。

  • ルンバ 900シリーズのデュアルアクションブラシ(左)と、e5のデュアルアクションブラシを比較すると、900シリーズは2本とも同じ形状ですが、e5は形状が別々。より清掃力をアップしています

―― e5は、ルンバ 800シリーズの後継機種ということですが、800シリーズでは60分だった稼働時間がe5では90分に延びています。それでいて価格は800シリーズより安いのがおどろきです。

挽野氏:800シリーズとe5は同じバッテリーを使用していますが、バッテリーの使い方を効率よく調整することで、稼働時間を延長しました。e5で難しかったのは、価格を抑えることです。優れた機能のものをお求めやすい価格で販売するために、1つ1つの部材コスト、工場の選定など努力した結果、すばらしい価格性能バランスが出せました。

―― e5の発売で、900シリーズ、eシリーズ、600シリーズという3シリーズ構成になりますが、それぞれどのように位置づけを考えていますか。

挽野氏:900シリーズは我々のフラグシップモデル。カメラとセンサーで取得した情報から、部屋の地図を作る機能(iAdopt2.0)を搭載しています。ルンバの位置を把握し、家中を効率よく動き、くまなく掃除します。高い清掃性能を備えているので、 よりキレイに掃除したい人にオススメです。

600シリーズは、機能を絞ったシンプルなモデル。手ごろな価格のルンバが欲しいという方に注目していただきたいモデルです。

そして新製品のeシリーズ。価格と性能のバランスがよいモデルです。これまでルンバを使ったことがないという人にオススメです。

  • シリーズごとに機能が違うので、用途にあわせて選択しましょう

―― なるほど、自分の重視ポイントにあわせて選べそうですね。床拭きロボット「ブラーバ」についてはどうでしょう。

挽野氏:ブラーバはルンバに比べるとまだ知名度が低いので、知名度を上げる活動を継続しています。ブラーバの購入者もルンバと同じ、共働き層とペットオーナー層ですが、どちらかというと、子どもがいる共働き層のお客さまが多いですね。

ブラーバはサイズが小さいので、日本の住宅環境にフィットしています。価格帯も手ごろなので、最初のロボット掃除機としてブラーバジェットの購入をする人も少なくありません。床拭きのニーズは高く、今後も伸びしろのある製品なので、とても楽しみにしてます。

  • ブラーバジェットは、「使い捨てウェットモップパッド」「使い捨てダンプスウィープパッド」「使い捨てドライスウィープパッド」の3種類