2002年に登場したロボット掃除機の「ルンバ」、2018年で16周年を迎えました。2018年10月26日発売の新製品「ルンバ e5」は、上位モデルとほぼ同等の機能を備えながら、税込み5万円台というお買い得なモデルです。今回、最新のルンバ e5や、ロボット掃除機の全体像について、アイロボットジャパンの代表執行役員社長 挽野元氏に話を聞きました。
ロボット掃除機の「ルンバ」と床拭きロボットの「ブラーバ」は、アメリカに本社があるiRobot(アイロボット・コーポレーション)の製品です。2002年に初代モデルを発売し、日本では2004年からセールス・オンデマンドが総代理店として販売を担ってきました。
2014年には床拭きロボット「ブラーバ」も国内で販売を開始し、2016年にはルンバとブラーバをあわせた国内出荷台数が200台を突破。その後、2017年4月には日本法人を設立して、日本市場でのビジネスを本格展開しています。2018年9月末までに、ルンバとブラーバの国内累計出荷台数が300万台を越えました。
―― ルンバとブラーバの国内累計出荷台数、200万台から300万台を突破までの期間はわずか2年。急激に伸びた理由をどのようにお考えですか。
挽野氏:ルンバやブラーバは「共働き世帯」で約17%、「ペットオーナー」では20%強の保有率です。こうしたユーザーに多くご利用いただけるようになったことで、累計販売台数300万台に到達したと考えています。
この1年、共働き世帯とペットオーナーに向けて集中的にアピールしてきました。その積み重ねがちょっとずつ効果を出してきたのではないでしょうか。さらに、現在使用している人が「便利だ」と、周りの人に伝える口コミの影響も大きいですね。特にペットオーナーは、オーナー同士のつながりが強いんです。
―― ルンバは特に認知率が高いですが、なぜでしょう。
挽野氏:セールス・オンデマンドさんが日本におけるルンバに関する業務を開始したのが2004年。当時はロボット掃除機というものが業界初の製品でした。そこから積み上げてきた歴史が大きな理由だと思います。
―― そして2017年、日本法人を設立したわけですね。日本法人設立のとき、日本はアメリカに次ぐ重要な市場というお話がありました。改めて、日本市場をどのようにとらえていますか。
挽野氏:アジアには大きな市場が2つあり、中国と日本です。中国は人口が多く、中間所得層が増えてきています。さらに、とにかく安いものがいいという人ばかりでなく、よいものが欲しいと考える人が増えています。買い物のスタイルとして、ネット通販の比率が高いのも特徴です。
挽野氏:日本の場合は、圧倒的に購買力が高い。購入チャネルは家電量販店の比率が高いので、店頭でわかりやすく説明することが販売のポイントになります。また、日本のお客さまは、製品の細かいところまで見ています。細かいニーズまで応えていくことで、製品がより魅力的になります。
実は、日本で出てきたニーズは、2年~3年後にほかの国でも出てくるので、日本で製品をブラッシュアップして、ほかの国につなげていくという位置づけなんですよ。