さて、今回のキーノート、Appleが言葉にしないところに「メッセージがあったのでは?」とつぶやかれている。例えば、John Gruber氏がキーノートの最中に、「誰の口からも"Intel"という言葉が出てこない。スライド1枚に書かれていただけだったと思う」とツィートした。

  • 「Intel」の名前を避けているように感じたAppleウォッチャーがキーノート中にざわざわ

私が気づいた範囲では「Intel」がスピーチの中で出てきたのは1度、しかも「Intel統合グラフィックス」という語句の一部としてであり、CPUに関しては「4コア・プロセッサ」や「6コア・プロセッサ」と表現するのみだった。スライドでは、最初のCPU説明で「第8世代Intelデュアルコアi5」と記してあった。だが、その後はただ「第8世代」とするだけで「Intel」が省かれていた。言われなかったら気にならなかったかもしれないが、たしかにちょっと不自然だ。

  • 詳しい人は「第8世代」だけで「Intel Core」と分かるが、一般的にはどうだろうか?

こうした指摘が出てくる背景には、AppleがMacにもAプロセッサを採用するという噂が飛び交っているからだ。今年6月に開催したWWDC 2018で、AppleはiOSアプリのMacへの移植をサポートするプロジェクトを公表、その技術を使ってmacOS Mojaveに「株価」や「ホーム」といったアプリを追加した。来年にはサードパーティにも開放する。

MacのAプロセッサ搭載は数年前ならありえない話だったが、今なら実現しても不思議ではない。数年後、次のMacBook Airの刷新が「MacBook meets iPadふたたび」となるかもしれない……それぐらいAppleが自ら開発するプロセッサを採用する価値がiPhoneやiPadで証明されているし、7nmプロセスの価値を存分に引き出しているA12/A12X Bionicは、Aプロセッサ採用を歓迎したくなるような飛躍を見せている。

順番が最後になってしまったが、Mac miniにも触れておくと、本体カラーにスペースグレーを採用した理由について「プロユーザーが好むから」「野獣のような中身にふさわしい」と説明していた。

  • プロユーザー好みのダークな色に生まれ変わって、役割も変わったMac mini

4コア/6コアCPU、メモリー最大64GB、ストレージは最大2TB SSD、10Gb Ethernetに変更可能と、サイズがミニなだけで、スペックはプロ対応である。内蔵グラフィックスはIntel UHD Graphics 630だが、eGPUによる強化が可能だ。

Mac miniは元々、Windowsからのスイッチャーのために用意された廉価でカジュアルなMacだった。スイッチャー向けのMacの需要がほとんどなくなった今、従来のMac miniは役割を終えたと言える。そこでプロユーザーのニーズを満たす小型デスクトップとして再設計。カバンに入れて持ち歩けるぐらいの小型パッケージに、デスクトップ性能を凝縮したのが新しいスペースグレーのMac miniである。キーノートでは、Mac miniの活用例として、パフォーマンスアート、音楽ソフト「MainStage」を使ったライブ演奏、Xcodeサーバといった使い方を紹介していた。

  • ライブステージでMainStageを動作させて楽器として使われるMac mini