「新しいiPad Proは、iPadのみならずコンピュータの大きな飛躍だ」
「iPadに対する考え方を変えるだけではなく、コンピュータに対する考え方を変える」
2010年のMacBook Air発表時にJobs氏がMacBookシリーズの未来を説いたのを思い出させるような積極的な言葉で、今回Tim Cook氏は新iPad Proを表現した。
2010年に初代iPadが登場した時、タブレットがパソコンを超える新しいパーソナルデバイスになるとたくさんの人たちが期待した。残念ながら、機能・性能、UI、あらゆる面で、そうした期待に届かず、タブレットは手軽にコンテンツを消費するのに適したデバイスに収まった。しかし、昔からSFの世界によくタブレットが未来のデバイスとして描かれているように、1枚のガラスの板に人々はパーソナルコンピューティングの未来を夢見る。
新しいiPad Proは、機能・性能、UIの成熟、あらゆる面で、2010年に人々がタブレットに期待したことを実現に近づける。自然で正確な色を表示するディスプレイが狭額縁で表面全体に広がり、マルチタッチを使って、指先でコンテンツに触れるように直観的に操作できる。そしてiOS 11で導入されたマルチタスク機能によって、タブレットのフルスクリーン表示の長所はそのままに、効率的に複数のアプリを使いこなせる。プロセッサは、iPhone XSシリーズやXRに採用された「A12 Bionic」の強化版である「A12X Bionic」だ。7nmプロセスで製造され、100億個以上のトランジスタを搭載する。前世代からシングルコア性能が最大35%、マルチコア性能が最大90%も向上。GPU性能は前世代から2倍、初代iPadとの比較だと約1000倍である。キーノートでは「新iPad Proは過去12か月に販売されたポータブルPCの92%よりCPUが高速」、「94%も小さな筐体で、Xbox One Sに匹敵するグラフィックス性能」とアピールしていた。その比較が妥当かどうかの議論は置いておくとして、性能面において、iPad Proは一般ユーザーのみならず、プロフェッショナルのニーズにも応えられるレベルに達している。その一例として、基調講演ではAdobeが2019年にリリースする予定のiPad版「Photoshop CC」のデモを披露した。
Apple Pencilは、マグネットで簡単に着脱して、充電とペアリングを簡単に行えるようになり、Smark Keyboard Folioは設置角度を2段階で調節できる。LightningがUSB-Cに変更され、周辺機器や他のデバイスとの連携の幅が広がるのもうれしい。タブレットで様々なことに挑戦してみたくなる完成度の高さだ。