現状、米国において、多くのモバイル通信会社は、通話とSMSを無制限に設定し、データも無制限(Unlimited)としている。そのため、基本的には、家族も含めて1社に契約をまとめた方が有利な料金体系になっている。
ただ細かく見ると、ビデオストリーミングのクオリティやテザリングの容量制限などの条件が課されており、データ無制限プランにもレベルに差がある。
また、広大な国土の米国においては、会社の勢力によってエリアの善し悪しは存在する。都市部ではT-Mobileが速度や料金の面で有利である一方、大陸の中央部分ではVerizonのエリアが優位に立っている。
そうした違いを活用し、普段都市で生活する家族はみなT-Mobileに統一し、これをデフォルトとして使いつつ、趣味のトレッキングのために、山間部などでもつながりやすいVerizonの電話回線も用意しておく、というパターンはあり得るだろう。
大手キャリアとMVNOの間でデータ料金に大きく差がある日本の場合は、通常の契約を大手キャリアと結んでおき、より有利なMVNOのデータプランを併用するパターンも考えられる。
前述のように、日本の通信会社がeSIMに対してどのように対応するのかはまだ不透明だ。eSIMへの対応が活発化したとしても、いわゆる格安SIMを提供する日本のMVNO各社は、IIJを除いてeSIMへの対応は難しいとみられている。
大手キャリアがeSIMに対応すれば、iPhoneのSIMトレイがMVNO用に開放されることとなる。となると、通話と基本サービスは大手キャリアを利用するのでeSIMの回線をデフォルトにし、MVNOの回線でデータを利用する、というパターンが一般的になるのではないだろうか。