Apple人々の関心が、再び、Macに向くようにという施策を打とうとしている。それが、iPadアプリのMacアプリ化という方針を打ち出すきっかけとなっているはずだ。根底にある発想は、プラットホームの発展はアプリの充実あってこそ、というものである。基本に立ち返り、Mac向けアプリの活況を作り出すことでMacをより付加価値の高いプラットホームへと押し上げようとしているのだ。

前述の通り、MacアプリをiPadアプリから作り出せる新たなスキームは、開発者にとって、Mac版を用意するリソースを大幅に軽減することにつながる。加えて、特にオフィススイートのアプリについては、iPhone、iPad、Macの各プラットホームで利用できるようになれば、購読型モデルで長期的にユーザーに使ってもらえるようになるという戦略がとれる。

AppleはiOS 11で導入したApp Storeへの「編集」コンテンツを、Macにも導入しようとしている。そこでMac App Storeの新装にも取り組んだ。iOSのApp Storeのように、役立つ日々のコンテンツを提供し、また「見つける」「創作する」「仕事する」「楽しむ」「開発する」というシンプルな5つのカテゴリを設置し、アプリの発見をシンプルな目的別に振り分けている。

  • Mac App Storeにも編集コンテンツが用意され、日々のアプリ活用や新しいアプリの発見の場として活用できるようになった

定番のアプリの活用法から、メニューバーのカスタマイズまで、iPhone以上に自由度が高いMacでは、より大きな効果を期待できそうだ。

松村太郎(まつむらたろう)


1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura