筆者は米国に渡った7年前の段階で発売から5年が経過していたマツダ・トリビュートというSUVを中古で手に入れた。昨年末、公園に駐車していたらパニックに陥ったドライバーにぶつけられて廃車となったことから、現在は手狭ながら、トリビュートの補償金で賄えた2006年モデルのBMW 3シリーズに乗り換えている。

米国の中古車市場は年数や走行距離である程度価格が低下していくが、しっかりと市場原理が働いており、台数が少なく取引数が少ない車種は、他のクルマよりも価格の低下が起きにくい。よって、BMWのような台数も多い人気車種が、マツダ・トリビュートのように販売台数が少ないクルマと同じ価格になってしまう、という現象が起きるのだ。

余談になるが、そうした市場性を上手く利用して成長したのがスバルだ。そもそも販売台数が少ない少数勢力だったが、固定ファンが多く、また長く乗れるため、中古車としての販売台数が少ない。レンタカーなどへの大量納車もしていないことから、中古価格が保たれ、長く乗っても高い売却価格が見込めるとして人気を集め、全米8位の自動車メーカーに成長したという経緯がある。

米国の場合、こうした中古車市場は重要なのだ。そして多くの場合、中古車市場で取引される自動車は、CarPlayやAndroid Autoをまだサポートしていない車種が多い。

そのため米国のダイソーで1.5ドルで手に入るエアコンの吹き出し口に取り付けるタイプのスマホホルダーを用いて、アプリのナビを利用するのだ。

CarPlayの自動車市場全体への普及はまだまだこれからだが、スマートフォンの存在によって、そもそもナビが付いていないクルマにあとからナビを搭載することが、全く合理的ではなくなってしまった。

加えて、CarPlayがGoogleマップをサポートしたことで、メーカー装着・アフターマーケットの車載機の存在価値が半減してしまうことを意味するようにもなった。安い価格のクルマであれば、ナビを用意せず、とりあえずラジオだけ聴けるようにし、CarPlayかAndroid Autoに対応できれば事足りる。高級車種こそ、移動体験の演出に心血を注ぐ意味はあるかもしれないが、それ以外にコストをかけて、Googleマップに劣るナビを搭載しても意味がなくなってしまった。