しかし、まぁ、そこまで厳しい目で見なければ、G9 PROは本当によくできているカメラだ。ガチでぶつかるのはOM-D E-M1 Mark IIになるのだと思うけれど、使い勝手が「よりデジカメ的」なのはコチラ。LUMIXに共通のメニュー構成をはじめ、操作系全般のまとめ方がとてもスマートなのだ。そのあたり、E-M1 MarkIIは、よくも悪くもより“カメラ”らしく、でもデジカメとしては少々野暮ったい仕上がりであるともいえ、それはきっとメーカーとしての成り立ちの違いがそのままカタチになっているということなのだと思う。

志を同じくする同一規格の製品なのに各々がここまで個性的なのだから、カメラってホントにオモシロイ。そして、些細なことが撮っているときの気持ちを左右し作品の仕上がりにも影響を与えてしまうのが、写真の面白いところであり面倒くさいところ。だから、たぶん、写真をヤメられないんだろうなぁ。

  • シャッターレスポンスが良く、AF-Sのピント合わせも俊足。狙った瞬間をモノにする快感を手軽に味わえるのがG9 PROである。ただ、動体を追い写ししているときなどにファインダー上でローリングシャッターゆがみ(?)がハッキリ見える(でもメカシャッターで撮っていれば仕上がりはゆがまない)ところには違和感バリバリ。表示上の問題なのだろうか?(LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.使用、ISO200、1/1000秒、F5.6)

  • 主要な被写体をこのぐらいのサイズで画角内に捉えていても、最初のピントのつかみに失敗することが少なくない。画面内にピントを合わせられる要素が少なく、しかもターゲットが小さい場合、G9 PROのAFはまず最初にグワッと大きくピントを送りながら合焦させるべき被写体を探すような動作をするのだが、望遠レンズを使って飛ぶ鳥を撮ろうとしている場合などには、最初にファインダー像が大ボケした瞬間に撮影者自身が被写体を見失うという思わぬとばっちりを受けることも。被写体をガッチリつかんでしまえば、動体に対するAFの追従性に文句は皆無なのだが……(LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.使用、ISO320、1/2000秒、F4.5)

  • LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.は、35mm判換算で800mm相当の画角が得られる超望遠レンズとしては非常に小さく、そして軽い。細かく画角調整ができるズームレンズの利点は超望遠領域でこそ活きる、とハッキリ実感させてくれるレンズでもある(LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.使用、ISO1000、1/640秒、F6.3)

  • 4Kフォトと6Kフォトは、AFの動作が通常の写真撮影時の挙動に近くなるなど、各部に地道な進化が加えられ、やっと“使える”機能になってくれたとの印象だ。今後は、被写体の前後方向の動きに対し、いかにして「写真として見たときに必要十分な合焦精度」を得ながら“連写” できるかが肝になるだろう。ここに掲載した作例は、後半において被写体ブレ(1/1000秒では不足だった)とピントの甘さが出ているので注意

著者:落合憲弘
「○○のテーマで原稿の依頼が来たんだよねぇ~」「今度○○社にインタビューにいくからさ……」「やっぱり自分で所有して使ってみないとダメっしょ!」などなどなど、新たなカメラやレンズを購入するための自分に対するイイワケを並べ続けて幾星霜。ふと、自分に騙されやすくなっている自分に気づくが、それも一興とばかりに今日も騙されたフリを続ける牡牛座のB型。2018年カメラグランプリ外部選考委員。