一方、AF-SとAF-C時の連写速度に明らかな違いが生じるところには面食らう人がいるかもしれない。AF-Cでは連写速度が低下するのだ。

これ、おそらくは、コントラストAFオンリーで高い動体追従性を確保するための足枷。像面位相差AFに手を染めず、コントラストAFだけで難関を乗り越えてきたLUMIXが抱え続ける小さな弱点のひとつだと捉えてもいい。

像面位相差AF搭載機でも、AF-Cで動体を「追っている真っ最中」には、連写が息継ぎするようなつまずきを感じさせることがある。それこそが丁寧にピントを拾っていることの所作であり証左だ。このまま同じペースでシャッターを切るとピントが追いつかない! とカメラが判断したときに一瞬「待つ」動作が入る。

でも、G9 PROの速度低下は一律低下の風情なのでアレレ?となる。GH2、GX1、G5などのレンズ交換式だけではなくFZ1000、FZ300といったレンズ固定型高倍率機も所有し使ってきた経験を持つ我が身には、勝手知ったる「LUMIXのクセ」である一方、G9 PROにおいてもいまだ克服できぬ壁であったことには複雑な思いを抱くことになった。

こだわりを感じさせる大型・高速ライブビューファインダーに対する思いも正直ちょっと複雑だ。デバイス(368万ドットのOLED)の表示そのものはハイクオリティなのだろうけれど、接眼光学系がデリケートすぎるのか、視野全域をキリッとスッキリ見渡せるポイントが見つけ出せないのである。これでは、せっかくの表示倍率が活かされていないと思う。表示倍率を簡単に切り替えられるというEVFならではの新たな装備を活かしてもなお、その思いを払拭することはできない。いや、倍率を落とすともっと印象が悪くなることさえあった。

複数の試用機を使った経験と、量販店で展示機をいくつか確認した結果の印象だ。それらと実際にユーザーの手に渡っている製品のデキが違うということであれば、この話は無視してもらってよい(実際に使っていてまったく不満を感じないのであれば問題はない)のだけど、ワタシは正直、ファインダーの視認性そのものは「G8」のほうが良好であると判断している。

そして、その事実にはジツはそれほど驚いていない。なぜなら、パナソニックのデジカメで「前モデルのほうがファインダーの見え方がよかった」と思ったことはこれが初めてではなく、「GH2→GH3」や「G5→G6」のモデルチェンジでも感じた経験があったからだ。どうして同じようなことが繰り返されているのか? もし、さまざまな数値目標の達成を優先した結果、実質的な使い勝手の面で不満を感じさせることになっているのだとしたら残念至極である。

  • LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.のテレ端撮影。ほぼ最短撮影距離(1.3m)で撮っている。最大撮影倍率は0.5倍(35mm判換算)。テレマクロとしての使い勝手が想定外に良好であることに加えて、最短距離におけるこのステキなボケ再現にはクラクラッときた。最近のパナ機はレンズ方面から欲しくなることが多い(LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.使用、ISO2500、1/640秒、F6.3)

  • 最大6.5段分の補正効果をうたう手ブレ補正も自慢ポイントのひとつ。というワケで、LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 ASPH.を装着したG9 PROで手持ちのまま「風」を写してみた。チョイスしたシャッタースピードは1/8秒。ワイド端8mmでの撮影なので、この程度のスローシャッターは屁のカッパだったようで、G9 PROの手ブレ補正にとってはいわゆるひとつの役不足だったかも?(LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm/F2.8-4.0 ASPH.使用、ISO200、1/8秒、F13.0、+1補正)

  • 約368万ドットのOLEDファインダーは、倍率を0.83倍、0.77倍、0.7倍にワンタッチで切り替えられる。被写体や撮影スタイル、眼鏡使用の有無によって最適な倍率を手軽に得られるデジカメならではの作りだ。今後、上位機種では当たり前の装備になってくるかも?(LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm/F2.8-4.0 ASPH.使用、ISO200、1/5000秒、F8.0、-2露出補正)