macOS MojaveでAppleが強調していた機能の一つに、Safariのプライバシー機能の向上がある。Appleは会社全体として、ユーザー中心に物事を考え、セキュリティ保護はもちろんのこと、デジタル広告のためのトラッキングを含むユーザーのプライバシー、ユーザーのデータの保護を第一にする姿勢を強調してきた。

  • Mac上のユーザーデータの保護も強化され、メールやメッセージ、Safari、各種バックアップデータも、ユーザーの許可がなければ利用できなくなった

今回MojaveのSafariに搭載されるのは、個人データ保護の強化、トラッキングの防止、そしてフィンガープリンティングの防止だ。

個人データの保護については、これまで、位置情報、写真、連絡先、リマインダー、カメラとマイクについては、アプリやウェブからの利用に際し許可制をとってきた。Mojaveではこれらに加え、メールデータベース、メッセージ履歴、Safariの保存データなどについても、ユーザーへのデータ利用の確認と許可の確認が表示されるようになる。

トラッキングは、普段我々が見ているニュースサイトなどで防止されるようになる。何気なく見かける記事のタイトルの下に配置されたソーシャルメディアへの共有ボタン。実はこれらのボタンは、表示するだけで、ユーザーがどのページを見ているのかを記録しているのだ。

例えばFacebookにログインしているブラウザで、ソーシャル共有ボタンがあるページを開けば、Facebookにどのページを見たのか、イイネボタンを押さなくても記録される。ちなみにFacebookは昨今のプライバシー問題から、外部サイトでのトラッキング情報を削除する対策を採った。

またフィンガープリンティングとは、そのウェブサイトを見ているブラウザやフォントの種類、マシンの構成などを取得し、1つのサイトもしくは複数のサイト間で、来訪者を推測もしくは特定できるという仕組みだ。これについても、Mojaveに搭載されるSafariでは防止策が採られることになる。

  • ユーザーやアクセスデバイスの特定をしにくくするため、システム情報やフォントなどの提供する情報を制限し、古いプラグインのサポート撤廃などの対策を施す

Appleは、iOS 12で紹介したScreen Timeアプリにおいてスマホの使いすぎを抑制する機能を提供し、macOS Mojaveではプライバシー保護を強化する機能を用意した。いずれも、閲覧時間や人物ターゲットの特定が重要なデジタル広告の世界に対する制限をかける機能であり、特にFacebookのビジネスモデルに対して、具体的な行動で「No」を突きつける形となった。