年齢を重ねるっていうことは素敵なこと

――いまの日本の状況下で視聴者がこのドラマを観ることについて、何か意識されている部分はありますか?

ありますよ。このドラマで描かれていることは、かなりリアルなお話しですからね。最近では皆さん海外ドラマをたくさんご覧になられていて、目が肥えている方々も多いですし(笑)。そういった意味では、やはり作り手側の描きたいもの、伝えたいものを明確にして、観てくださる方々にきちんと届けたいとは思いますよね。少なくとも自分がやる作品には、そういう姿勢で臨みたい。誠意をもって骨太の社会派ドラマをずっとやり続けているWOWOWさんのことをとても信頼してるし、僕らも本当に演じたくて演じてる。やりたくてやってるんだっていうことが、お客さんにもちゃんと見えないといけないんだと思うんですよ。そういう思いが、結果的に役を演じる上での自負や自信になるし、熱量みたいなものが作品の力になって、視聴者のもとに送り届けられる気がしますね。

――最後に、椎名さんの今後の役者人生における、具体的な目標というものはありますか?

例えば、クリント・イーストウッドさんとか、メリル・ストリープさんとかが演じていらっしゃるのを観ていると、「年齢を重ねるっていうことは素敵なことなんだ」って思わせてくれる作品って、たくさんあるじゃないですか。残念ながら日本にはまだそういう作品は少ないですけど、これから高齢化に伴ってもっと増えていくんじゃないかと思いますよ。

――ぜひそうなって欲しいです。

そういう流れが来た時に、もし今よりもっとキャリアを積んだ状態で、素晴らしい人たちと良い作品を作れるのであれば、その時までにさらに俳優修業を続けていかなければいけないな、とは思いますよね。おそらく、2020年のオリンピックを境に、何かまたいろんなことが変わり始めるんじゃないですかね。まぁ、それは僕がたまたまオリンピック年(1964年)生まれだから言ってるわけなんですけどね(笑)。

――もちろん椎名さんご自身はオリンピックを過ぎても役者を続けていかれるわけですよね?

オリンピック引退説とか!? じゃあ、あと2年くらいか(笑)。でも本当に役者なんて、なんの保険も保証もない世界ですからね。本当にダメになった時に、何か他に出来ることを考えとかなきゃいけないね。『不発弾』に一緒に出ているデビット(伊東)さんに、ラーメンの作り方でも教えてもらおうかな(笑)。