――主題歌についてですが、Season1の「Armour Zone」は「アマゾン」、Season2の「DIE SET DOWN」は「大切断」(仮面ライダーアマゾンの必殺技)と、『仮面ライダーアマゾン』を連想させるタイトルがつけられていて秀逸だと思いました。こういったタイトルはどなたが考えられたのですか?

それはもちろん、作詞を担当されたマイクスギヤマさんによるものです。

――今回の映画『最後ノ審判』主題歌の「EAT,KILL ALL」もすばらしいタイトルです。文字だけ読むと「食え、殺せ、全て」とあまりにも殺伐としている一方で、「生きろ」という言葉とかけているんですね。

あれもすごいですよね。ダジャレの天才(笑)。最初聞いて腰を抜かしたというか、本当にびっくりしましたよ。「Armour Zone」「DIE SET DOWN」と続いて、最後にそう来るかと! もう、殺すのか励ますのかどっちなんだという(笑)。映画の内容やシリーズもきちんと踏まえた、すばらしい主題歌になっていますので、エンドロールまでぜひお楽しみいただきたいです。

――先日、石田監督に取材させていただいたとき「アマゾンズは自分の監督人生の中でもナンバーワン」と、作品の出来にかなりの手ごたえを感じていらっしゃるとうかがいました。監督からこういった言葉を聞くことができたのは、白倉さんとしても嬉しいのではないでしょうか。

ありがたいですね。『アマゾンズ』に全身全霊を注ぎ、愛情と愛着をもって取り組んでくださった石田監督には感謝の気持ちでいっぱいです。7割ありがたいと思っています。残りの3割は、これから先も『アマゾンズ』に続くステージで活躍してほしいという願いです。監督も私も欲張りですから、これから未来に向けてどんな作品を作っていくか、ということにも期待していきたいのです。

――映画『最後ノ審判』の予告編では「これぞ仮面ライダー」というキャッチコピーが最後に入りますが、これは『アマゾンズ』こそが白倉さんにとっての理想的な「仮面ライダー」像だという意味なのでしょうか。

キャッチコピーについては宣伝の都合でしょうが(笑)。厳密には「これも仮面ライダー」というべきですかね。もちろん、『仮面ライダービルド』も『仮面ライダーエグゼイド』も仮面ライダーに違いありませんから。ただ、『仮面ライダーアマゾンズ』という作品を作ると決めた際には、原点となる『仮面ライダーアマゾン』(1974年)のことを強く意識せざるをえませんでした。

『アマゾン』って、1号2号の『仮面ライダー』(1971年)が大ヒットして、この人気を受け継いで『仮面ライダーV3』(1973年)がさらなるヒットを飛ばし、続く『仮面ライダーX』(1974年)でその人気がちょっと下がってしまい、「こうなったら原点回帰だ!」ということで企画された作品なんですよね。それまではバッタというか、昆虫をモチーフにしていた仮面ライダーなんですけれど、いきなり出てきたのが「日本語を話せないハダカの野生児が変身した、野獣のような戦い方をするトカゲモチーフのライダー」ですからね。

テレビを観ている私たち子どもが「仮面ライダーってこういうものだよね」となんとなく固定観念で思っていたところに、あの異形のライダーが出てきたわけです。だから『アマゾン』は、私たちに「仮面ライダーらしさとは、いったい何なんだ?」と考えるきっかけを与えてくれた作品だと思っています。現代において『仮面ライダーアマゾン』を題材に『仮面ライダーアマゾンズ』を作るためには、やっぱり原点に回帰しなければならない。仮面ライダーって何ぞや?という部分に立ち返っていかないと『アマゾン』というタイトルをつける意味がないぞ、と考えました。『アマゾン』こそが仮面ライダーだ、ということではなく、時代が移り変わりながらも普遍的な「仮面ライダー像」を探る、そのヒントが『アマゾン』に隠されていると思っています。

――映画『最後ノ審判』が多くの仮面ライダーファンに衝撃を与え、大ヒットするのを期待しています! ところで、これだけの作品パワーを秘めた『アマゾンズ』だけに、これで「完結編」と言いつつも、サブキャラクターを主役に据えた「スピンオフ」作品などを作ったりする構想があったりしませんか。

ありますよ(即答)。

――ええっ!?

橘局長の秘書を務めていた「加納省吾(演:小松利昌)」の上半身と下半身がめぐりあうまでの話(※Season2の第9話を参照)。ぜひ「加納(上)」と「加納(下)」でやりたいですね。

――(絶対ウソだ! と思いつつ)あ、ありがとうございました……。

プロフィール
白倉伸一郎(しらくら・しんいちろう)
1965年、東京都出身。東映株式会社取締役およびテレビ第二営業部長。1990年に東映入社後、『鳥人戦隊ジェットマン』(1991年)よりプロデューサー補として作品制作に携わる。以後、『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年)や『超光戦士シャンゼリオン』(1996年)、『仮面ライダーアギト』(2001年)『美少女戦士セーラームーン』(2003年)など、主に特撮ヒーロー作品のプロデューサーを務めて多くの作品をヒットに導いた。著書に『ヒーローと正義』(寺子屋新書/2004年)『小説 仮面ライダー電王 東京ワールドタワーの魔犬』(講談社キャラクター文庫/2013年)がある。

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