前書きが長くなったが、Photo10が今回発表された新しいRyzen Proである。要するにRaven RidgeベースのRyzen Proだ。もともと2017年6月のRyzen Pro発表会で公開したロードマップで、2018年前半中にMobile Ryzen Proとして投入するとしており、これをきちんと守った形になる。
ラインナップは以前と異なり、Consumer向けのRyzen APUと「ほぼ」同じである。「ほぼ」というのは、Ryzen 3 2200Uに相当する製品が入っていないからだが、あとはモデルナンバー、構成、動作周波数、TDPのいずれも全くConsumer向けと同じということになっている。価格については原稿執筆時点では発表されていないが、Consumer向けと大きくは変わらないだろう。
ちなみにRyzen ProはRyzen APUベースでも、以前に紹介したGuardMIやDASHベースの管理機能、そして18カ月のドライバ供給/24カ月の製品供給/36カ月のサポート、それとCommercial Grade向けの選別といった特徴がそのまま継承されているという。
今回新しく紹介された数字として、実際にIT部門がマシンを購入して初期設定を行うまでの時間と手数を比較しており、AMDとIntelで差はないと導入のしやすさをアピールする(Photo11)。
Photo12はMobile向けの構成比較となる。Intelに比べるとラインナップを整理した感じになっているが、IntelがvPro対応製品を2モデルしか用意していないところに対して、AMDは全製品でGuardMIやDASHが利用可能だというところを強みとしている。
また、CPU性能比較(Photo13)ではややIntelに見劣りするものの、GPUを利用できる用途では大幅に性能改善するので(Photo14)、トータルとしては互角以上という説明である。
同様にPhoto15がDesktop向けである。こちらの価格帯になるとIntelの側はそもそもvProを搭載したCPUをラインナップしていないので、それだけでも大きな違いになっているというのがアピールポイントになっている。CPU性能(Photo16)ではやや見劣りするが、GPUを使うと大きく性能が改善する(Photo17)のはMobile向けと同じだ。
余談だが、Photo14やPhoto17はSPECViewPerfのテストを利用したアプリケーションの例が出てくる。本来はこうしたアプリケーションを使う場合、正しくCertificationしたドライバを利用できるのかどうか? という話が別途絡んでくる。
AMDはRadeon Pro Graphics向けにこうしたドライバをリリースしているので、提供そのものは不可能ではないはずだが、関係者に確認したところ、Ryzen Pro APU向けのドライバはConsumer向けのドライバをベースとしたものになるという。
ただ、ゲーム向けのHotFixなどは必要ないので、ドライバそのものは別になるという話だった。逆に言えば、OpenGLのAPIサポートに関しては、Consumer向けのRadeon Driverと同等レベルしか期待できないということで、これはちょっと残念である。
今回の新Ryzen Proの発表にあわせてDell/HP/Lenovoから製品の紹介もあった(Photo18,19)が、その話は後でするとして、次に同時に示されたWorkstation/Serverの話をご紹介したい。