Swiftの存在意義は3つある。まずは、Swift Playgroundsの存在だ。これは直接的に、iPadの競争力を高めることにつながる。iPadは現在329ドルまで値下げをし、教育機関や企業向けの導入で競争力を発揮するようになった。
もともと定評がある性能面や物理的な面での高い耐久性は、買い換え頻度を下げ、長期間利用する上でのコストを軽減している。加えて、OSや基本ソフトウェア、iWorkなどのドキュメントアプリ、iLifeなどのクリエイティブアプリを無料で提供しており、導入後のソフトウェアなどにかかるコストも基本的にはゼロに抑えられる。
それらに加えて、プログラミング教育のソリューションまで無料で提供することで、ChromebookやWindows PCに対して、購入時、購入後にわたっての優位性を発揮するようになったのだ。
2つ目はMacへの移行を促せるという点だ。
AppleはMacとiPadの融合を否定し続けている。現在サードパーティを含む多くのアプリがMacとiPadの双方にアプリを提供し、iCloudなどを通じた同期が行える仕組みをとっているが、明確な線引きも存在している。
例えばiPadでは、ディスプレイやグラフィックスなどの拡張が行えず、Xcodeによるアプリ開発もできない。一方Macには標準でタッチディスプレイへの対応がなく、Apple Pencilも利用できない。その代わり、アプリ開発は前出のXcodeから自由に行えるようになっている。
Swiftにフォーカスをすれば、iPadではSwift Playgroundsによって学習こそ可能だが、実際のアプリ開発やApp Storeでの公開はできない。そのため、iPadでSwiftを学び始めた人がアプリ開発を目的にコンピュータを購入する場合、ほぼ確実にMacプラットホームを選択してくれるようになるという道筋をつけられる。
3つ目はアプリ開発者の裾野を広げる役割があるという点だ。
世界的にはAndroidスマートフォンが85%以上のシェアを獲得しており、iPhoneの占有率自体は小さくなり続けている。一方で、iPhoneは先進国では引き続き40〜50%のシェアを獲得している。
iPhoneユーザーを継続的に確保していくためには、魅力的なアプリが素早く開発者によって提供されることが重要であることは、これまでのiPhoneの歴史からも明らかだ。
その原動力となる開発者を常に増やしていくことが、Swiftに付与された使命である。Swiftを学びやすく開発すること、またSwift Playgroundsを学校教育の中で定着させることが鍵となっていうことだろう。