筆者が訪れたのは1960年の冬季五輪が開催されたSquaw Valleyだ。ここに開設されたスノーリゾートは、リゾート地のイノベーションに積極的で、Apple Watchのスキー対応も見逃さなかった。
Squaw Valleyアプリを入れてリゾートに到着すると、まず通知で「ようこそ」と歓迎の挨拶が表示される。翌朝起きてみると、「パウダースノーです!」と雪質の情報の通知が届いており、絶好のコンディションを逃さないようにする配慮にも余念がない。ゲレンデに出る前から、アプリをホスピタリティ向上に活用していることがよく分かる。
Squaw Valleyも、前述のSlopesと同じように、Appleが用意したカスタムAPIを活用するため、ワークアウトに関して取得できるデータは共通となる。もちろんそれぞれのアプリで行ったワークアウトは、ヘルスケア、アクティビティのアプリに記録される仕組みだ。
しかしSquaw Valleyは、そこのスキーリゾートに特化したアプリであることから、世界中のゲレンデで利用できるSlopesとはひと味違う。その日の朝、まずゴンドラに乗ると、Apple Watchアプリには「FUNITEL」というゴンドラの名前が表示され、さらに現在そのゴンドラの何%進んだのかまで表示してくれるのだ。
ゲレンデに出ても同じ事が起きる。自分が訪れたコース名とどれくらい滑ったのか、という%表示を手首だけで確認できる。これは、レイクタホでのスキーヤーにとっては、非常に重要な機能だと感じだ。というのも、Squaw Valleyは気温が低く、筆者が滑った日のゲレンデの気温は-15℃前後だったからだ。雪中、防水機能を採用しているiPhone Xは通信手段とカメラとして役立つが、-15℃の環境でグローブを外してiPhoneを触ろうという気には滅多にならない。そうしたとき、Apple Watchは重宝する。グローブをめくればすぐに情報が分かり、友人との通話や音声でのメッセージ返信が可能だからだ。その際、アプリから、きちんと自分の居場所、つまりどのコースのどのあたりなのか、どのリフトに乗ったばかり、という情報を伝えられる。さらに、あらかじめアプリ上で友人登録をしてゲレンデに出かければ、アプリのマップで友人の位置をリアルタイム表示してくれるため、連絡を取り合わなくてもすぐに合流できる。
ゲレンデならではの体験を提供する事は、Squaw Valleyが目指している「スキーリゾートのイノベーション」を実現する重要な要素と、同社のデジタルマーケティング担当副社長、Tracy Chang氏は強調する。
「アプリの活用はその戦略の中核にあります。今シーズンから利用できるようになったApple Watch Series 3とソフトウェアは、ゲストにスノースポーツのワークアウトの先進性をもたらします。」ともChang氏は言う。