今回のプロジェクトは、これらの実証事業をベースに、クラウドソリューションを活用することで、児童および生徒の学び方と、教職員の働き方の改革を実現することを目的としている。同時に、2017年8月に、中央教育審議会が提言した「学校における働き方改革に係る緊急提言」の実現に向けた取り組みのひとつにも位置づけられている。
具体的には、教務・校務クラウドシステムとして、日本マイクロソフトのMicrosoft 365 Educationと、ソフトバンクコマース&サービスのクラウド運用サービスを採用し、多久市立東原庠舎中央校、同東部校、同西渓校の小中一貫の義務教育学校3校に、190台のタブレットを整備。Microsoft 365 Educationの利用は国内で初めての事例だ。
多久市教育委員会の田原優子教育長は、「いまは一斉学習が8割を占めているが、今後は協働学習を8割に高めたい。それを実現するために、考えを深め、考えを伝えるツールとしてタブレットとクラウドを活用したい。学び方を身につけることが大切であり、自己肯定感を高めること、学力調査でも全国平均を上回ることを目指したい」と述べた。
多久市教育委員会が行う学び方改革や教職員のテレワーク、多久市教育委員会が主催する多久市多忙化対策協議会に対して、ソフトバンクコマース&サービスと日本マイクロソフトが技術的なアドバイスを行うほか、教務・校務クラウドシステムを活用した「教員の働き方と児童生徒の学び方改革」の検討ワークショップを開催。プロジェクトでの活動内容などを、2018年度中にケーススタディとして公表する。
■ソフトバンク コマース&サービス エデュケーションICT推進室の古泉学室長:「エデュケーションICT推進室は、教育ICTを導入および運用、設計コンサルティングを行っているプロフェッショナル集団であり、教育市場において、お客様がICTを通じて実現したいことを聞き、その実現のためにいかに最適な導入を促し、有効に使ってもらうことを目指す。
2013年4月に事業を開始して以来、すでに教育機関や自治体など、全国300ユーザーでの実績がある。自ら学び、学ぶことが楽しい教育市場を作りたい。
多久市の例では、オンプレミスによる従来型の仕組みからクラウドへの移行により、コスト削減や合理化といったメリットがある。また、学校内に閉じていたコンテンツが、市内の義務教育学校において共通的に利用できるようになる」
■日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏:「日本マイクロソフトでは、社内で働き方改革の実践に取り組んだり、パートナーとともテレワークの提案を行ったりといった実績がある。この知見を、教育現場での働き方改革に活用できると考えている。
子供たちの学び方改革に向けては、Microsoft 365 Educationによるルーブリックプログラムを提供。協働学習の実現を支援することになる」