働き方改革が注目を集めるなか、小中学校の教員にもその改革の波が広がろうとしている。日本マイクロソフト、ソフトバンク コマース&サービス、佐賀県の多久市は、同市における「教員の働き方と児童生徒の学び方改革プロジェクト」を推進する。
日本マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」や、Office365などを統合した「Microsoft 365 Education」、日本HPなどの「Windowsタブレット」を活用することで、教員の働き方を改革。同時に、児童および生徒の学び方改革にも取り組む。パブリッククラウド環境だけで、教務や校務、そして授業の現場までを、トータルで利用しているのは、全国でも初めての事例だという。
2018年1月26日に、多久市の多久市立東原庠舎中央校において、多久市の横尾俊彦市長、日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏、ソフトバンク コマース&サービス エデュケーションICT推進室の古泉学室長が出席して、協定書に署名した。
多久市の横尾俊彦市長は、「ICT教育は、子供たちの個性や特性を育むことを支援するものになる。日本は、もっと21世紀型スキルを実践すべきであり、私は、ICTの意味を、『I Create Tomorrow.』だと思っている」などとし、ICTを活用した教育支援に力を注ぐ姿勢をみせた。
横尾市長は、全国ICT教育首長協議会の会長も務めており、ICTを活用した教育実践の旗振り役でもある。同協議会には、117自治体が参加しており、今後、全国の自治体の約2割となる300自治体の参加を目指す。1月30日には、全国ICT教育首長サミットが開催され(東京・青海の東京国際交流館)、首長の主体的な行動とICTの活用によって、地域の教育課題を解決した取り組みなどを日本ICT教育アワードとして表彰した。
多久市は、佐賀県内の他市町に先駆けて、2009年度に、すべての小中学校の普通教室に87台の電子黒板を設置するとともに、全校に専属のICT支援員を配置し、ICT教育への先進的な取り組みを開始。2016年度には、総務省の「先導的教育システム実証事業」において、日本マイクロソフト、ソフトバンクコマース&サービスの支援により、多久市立東原庠舎中央校の5年生を対象に、フルクラウドで運用するシステムを導入した。そして、タブレット端末で授業を行ってきた経緯がある。
市役所と教室を結んで、Skype for Businessを利用しながら、「未来の多久市」をテーマとして、横尾市長と児童の対話も行われた。横尾市長に向けて、小学5年生の児童が、6つの提言を直接プレゼンテーションするといった内容だ。