Appleのこうしたアプローチについて、危険性を指摘する声も挙がっている。
指摘したように、コントロールセンターのボタンは、iPhone本体のワイヤレス機能そのものをオフにするものではない。つまり、ユーザーがオフになっていると勘違いしているところで、Wi-FiやBluetoothが動作している可能性が高いということを示しているとも言える。
このことについて、長年Bluetoothに関して研究しているセキュリティの専門家、Collin Mulliner氏はMotherboardとの会話で、Appleのコントロールセンターの挙動について「バカげている」と批判している。
ワイヤレス接続がユーザーの意図に反してオンになっていることは、デバイスをセキュリティ上の懸念に晒すことになる、というのだ。iOSやiPhoneのセキュリティ性能を評価するものではなく、一般的なアイディアではあるが、ユーザーが勘違いしたり、誤って理解している状態は確かに好ましくない。
これはセキュリティの問題にはなりにくいかもしれないが、AirDropをオンにし、受信設定を「すべての人」としていると、周囲にいる人の誰もが、筆者のiPhoneにファイルや写真を送ることができる状態を意味する。
もし端末名をデフォルト設定のままにしていると、自分の連絡先に登録している顔写真と本名までもが、AirDropの相手先として表示されてしまうので注意が必要だ。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura