App StoreのTodayタブは、各国のストアに編集者が入って、毎日3〜4本の記事が発信されている。

AppleはApple Musicについても、4,000万曲のカタログと日々増え続ける新曲を、人の手によってキュレーションし、特集やプレイリストという形に編集してリスナーに届けている。またBeats1は、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンをリレーしながら、DJが音楽を紹介したり、アーティストのインタビューが放送されている。

膨大な数のコンテンツを人の手によって編集する、というモデルをApple Musicの売りにしているが、App Storeも同様に、人の手による編集をApp Storeの膨大なアプリに適用していく手法を採っている。

人の手によるアプリ情報の編集は、Google Playも先行して取り組んできた。例えば日本の開発者のゲームについては、同じゲームであっても各国のストアによってバナーやプロモーションのテイストを変え、細かいマーケティングのローカライズを施すなど、編集による成果を挙げてきた。しかしGoogle Playも、6割のアプリは「誰にも見つけてもらえない」という問題がある。

もちろん良質なアプリに人気が集まることは当然ではあるが、ユーザーの行動や趣向に合わせたアプリの推薦の仕組みを構築することは、編集の次の段階で必要なApp Store、Google Play共通のテーマになるのではないだろうか。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura