こちらに関しては、新しい情報がない。仕様そのものはJESD250として2017年7月に標準化が完了している。GDDR6の仕組みは2017年のテクノロジートレンドで説明した通りなので繰り返さない。
ただし前回説明したもののうち、CrossTalk対策として提案された3B4Bエンコードないし8B9Bエンコードは、最終的に採用されなかったようで、オプションとしても仕様には存在していない。データは16bit幅で、x8モードとx16モードの両方がサポートされるという、GDDR5/GDDR5Xまでの方式を踏襲している。
マーケット動向でいえば、2017年中にGDDR5Xを採用したのは、NVIDIAのGeForce GTX 1080/1080 TiとGeForce Titan Xの3製品に留まった。
一方で、GDDR6については、SK Hynixが2017年4月にサンプル出荷開始をアナウンスし、Samsungは出荷アナウンスこそないが、2017年11月のリリースの中で16Gbit GDDR6について触れている。そしてMicronは2017年12月の同社のBlogエントリで、GDDR6の設計や認証取得が完了したことを発表しており、量産開始を目指すとしている。
要するに大手3社は大体同じタイミングでGDDR6の設計と検証、さらにベンダー(つまりNVIDIAとAMDだ)からの認証も取得していることが分かる。そんなわけで2018年はGDDR6を搭載したグラフィックスカードが市場に出回るのは間違いない。
GDDR6とプロセスの最適化でメインストリーム製品の性能向上を図る
これはGPUベンダーにとっても都合が良い。詳しくはGPUの所で説明したが、2018年は7nm世代に向けて足踏みをしている格好であり、ライブラリを変更して多少トランジスタ密度を上げても、劇的に性能が上がるとは考えにくい。このままだと、ユーザーの購買意欲を喚起するのはちょっと難しい。
ところがメモリを高速化できると、それだけでも割と性能が上がりやすい。これとプロセスの若干の改良を組み合わせると、前世代製品と比べて多少なりとも明確な性能差を出しやすく、購買意欲を喚起できる可能性が高まることになる。特にこれはメインストリーム向けの製品に大きなメリットがあると思われる。
HBM3はもう少し先に
一方、HBM3はもう少し先になりそうである。以下のスライドは2017年9月のRAMBUSのAnalyst Day向け資料である。同社はメモリコントローラのIPを各種提供しており、DDR3/4やHBM2に関しては既にIPの提供を広く行っているが、HMB3とDDR5に関してはそもそもまだ開発中(In Development)である。
ターゲットも7nm世代としているから、早くて2019年以降ということになる。こちらもJEDECで審議中であるが、21017年にちょっと紹介した、SK HynixによるさまざまなバージョンのHBMを含めて、2018年中にはどうなるのかが見えてくるかもしれない。