繰り返しになるが、今回のMacの脆弱性はAppleのソフトウェアにおいて穴があり、それを発見できずにリリースしていた事が問題だった。幸いなことに、善意のユーザーによって発見され公表されたことで、結果的にAppleも迅速な対処ができた。しかしもし悪意を持った人物が発見していた場合、発見が遅れ悪用が進んでいたことも考えられた。今回は運が良かっただけだ。

もちろんAppleが完璧なシステムをリリースしていくことに期待すべきだが、セキュリティやプライバシーの問題は必ずしもOSレベルの問題だけではない。例えば、2017年10月に公表された「KRACK」は、あらゆるWi-Fiに対応する機器が影響を受けるWPA2暗号化プロトコルにおける脆弱性だった、ハッカーはコンピュータやモバイルデバイスとルーターの間に入り、HTTPSで暗号化されているような通信以外を見ることができてしまう。

  • krackattacks.comのWebサイト

この問題はiPhoneやWindowsデバイスは影響を受けないとされているが、AppleはmacOSやiOS向けにKRACKsの問題を修正するアップデートを公開した。ただし、自宅、カフェや空港などの公共空間で使うWi-Fiルーターで問題の対処が進まなければ、暗号化されていない通信が盗み見られる可能性は排除されない。

また、アプリやサービスのハッキング被害にも目を光らせるべきだ。ライドシェアや食べ物の宅配などのサービスを展開するUber Technologiesのユーザーやドライバー情報が5,700万人分がハッカーの手に渡り、ハッカーに10万ドルの口止め料を支払ってこれを1年以上隠蔽してきたことが明らかになった。もちろんハッカーがこの情報を約束通り削除した保証はない。