Appleは今回の緊急アップデートに寄せて、次のようなコメントを出している。
「セキュリティはあらゆるApple製品において最も優先する事項で、macOSの今回のリリースで問題が生じた点は遺憾だ。セキュリティに関するエンジニアが28日午後にこの問題を認知し、ただちにセキュリティの脆弱性を修正するアップデートに取り組んだ。29日午前8時の時点でアップデートはダウンロードによって提供されており、29日中にmacOS High Sierraの最新バージョン(10.13.1)を導入した全てのシステムに自動インストールを開始する予定だ。今回の問題は極めて遺憾であり、脆弱性を伴うリリースによってご迷惑をかけたことについて、全てのMacユーザーに謝罪する。顧客にはより良いサービスを提供しなければならない。再発防止に向けて、ソフトウェア開発プロセスを見直す」
コメントの最後には、開発プロセスへの問題にも言及があった一方で、インターネットにつながっていれば今回のアップデートが自動的に反映されることも明らかになった。
Macがこれまで、安全だと言われていた理由は主に2つある。今回Apple自身が脆弱性を含むmacOS High Sierraをリリースしていた点に問題があったが、そもそもサーバなどに用いられているUNIXシステムをMac向けに活用しており、堅牢性を維持しやすいといわれている部分がある。ただしこれについてはWindowsやChromeOSについても、すでにMacに大きく劣る存在とは言い難いという状況になっているということを補足しておく。
もう1つの理由は、影響範囲が小さいと考えられてきたことだ。Macは歴史的に見ても、Windowsほどのユーザー人口が多くないため、ウィルスや脆弱性を突くハッキングで影響を受ける規模が小さい。ハッカーが、より多くのデータを奪おうとしたり、混乱を作り出そうと考えるなら、自ずと、ターゲットはWindowsユーザーに絞られる。
一方で、Macの売上は拡大し続けており、iPhone、iPadという単一機種では最も販売台数の多いスマートフォン、タブレットを擁しているAppleが、いつターゲットになっても不思議ではない状況になっている。ユーザーや企業にとって、安全性は重要事項の一つであり。プラットホーム選びの検討要素になることは間違いないが、現状を踏まえると過信しすぎるべきではない。Appleは「Macは安全」「iPhoneは安全」というイメージを引き続き確保しておきたいはずではあるのだが。