体験する人によって、同じコンテンツでもさまざまな感想や気付き、あるいは要望が出てきた。これはMRという技術がまだ目新しく、ユーザー体験の絶対量が少ないからこそ得られた反応だろう。

筆者も一通り試してみたが、コンテンツ開発者の工夫の余地はかなりありそうに感じた。今回はエンターテインメント中心だったが、T氏から自動車の教習というヒントも出ていたとおり、教材や研究にももちろん活かせるはずだ。

現状、すぐに楽しめるコンテンツは、YouTube上の360度動画や、アプリメーカーから販売されているVR対応のライブ映像といったコンテンツなどが主だが、他方、VR動画ではなくMR専用コンテンツとなると、Windowsストアに並ぶタイトル数は、正直なところ物足りない。29日時点でのWindowsストアのMRコンテンツ数は63だ。

  • Windows Mixed RealityポータルにはMicrosoft ストアも設置しており、ストアで配布しているMRコンテンツを一覧で表示できる。29日時点では63コンテンツが並んでいる

MR対応タイトルは徐々に増えていくことと思うが、現状すぐにプレイできるタイトルは少ない。逆にいうと、コンテンツの充実度が普及の鍵を握ることになりそうだ。

MRヘッドセットは2017年末に、VRゲーム販売プラットフォームSteamVRに対応すると言われており、11月中旬にはSteamVRのゲームをMRヘッドセットで視聴できるようにする早期アクセス版もリリースされた。ただ、推奨される再生ハードウェアにNVIDIA GeForce GTX 1070以上のグラフィックスやDirectX 11への対応が求められるなど、現時点では利用のハードルは高い。

これらを踏まえると、富士通のMRヘッドセットはゴリゴリのVRゲーム向けではなく、どちらかというとVR動画や360度LIVE映像の再生などが想定されていそうであり、PCスペック的にも適している。今回試したような、負荷の低いMRコンテンツがちょうど良かったのだろう。動作もおおむねスムーズだった。

いずれにしろ、ハードウェアの投入に伴い、MRコンテンツは間違いなく拡充が見込める。Windows Mixed Realityのコンテンツパートナーには「マインクラフト」や「Halo:Recruit」なども名を連ねており、コンテンツさえ揃えば、MRは接続の手軽さから大きく広がる可能性がある。今後の新しいコンテンツの登場に大いに期待したい。