RX10 IVは競合価格帯のミラーレスや一眼を超えるか
このように、動体撮影を視野に入れて大きな進化を遂げたRX10 IV。だが、惜しい点もないわけではない。それは「レンズが電動ズーム」であること。レンズのズーム倍率が高いうえに、光学品質の高さゆえ大きく重く(1kgを超える重量のほとんどはレンズの重さ)、機敏なズーミング操作ができないのだ。したがって、手前に向かって近付いてくる被写体を追い切れず、シャッター半押し中はズーム機構が動作しない。
せめてレンズ側のズームリングで手動ズームが可能なら、撮影の可能性は飛躍的に拡大したに違いない。が、残念ながらここも電動。電動ズーム機構は、動作のスムーズさと静音性から動画撮影には打ってつけである反面、高速移動体の撮影に向いているとはいい難い。もっとも、撮影プロセスにおいてズームを操作しない人にとっては問題ないのだが。
また、今回の試用では、光学式手振れ補正機構の効果を実感することは正直できなかった。しかしながら、撮影した写真を見返すと、まったく効いていないこともないように感じる。
最後に、動画の作例を2点ほどご紹介しよう。4K動画とHFR(ハイフレームレート) 240fps時)の作例だ。本来は三脚を据えて撮りたいところだが、あえて手持ちで撮影してみた。どちらもテレ側目一杯を使用。手振れ補正のパラメーターは「スタンダード」。かなりしっかりと構えたつもりだが、焦点距離が長いこともあり、この程度は揺れる。なお、この動画では操作していないが、動画撮影中のズーム操作は可能だ。
【動画(30fps 4K)】4Kは30fpsのみの撮影をサポート。とはいえ、物理的な解像度の高さと、レンズの描写能力の高さ、この両輪が緻密で臨場感たっぷりの映像を紡ぎ出す |
【動画】ハイフレームレートモードでは、いわゆる「スーパースロー映像」の記録が可能。240fpsのほか、480fps、960fpsに対応する |
RX10 IVの実勢価格は、約17万円~18万円となっている(11月中旬、筆者調べ)。これは、APS-Cサイズのセンサーを搭載したミドルクラス一眼と、レンズメーカーの18-400mm F3.5-6.3あたりをセットで買える値段だ。カバーできる焦点距離もほぼ同じ。どちらを選ぶかは人それぞれだが、個人的にはRX10 IVが割高とは決して思わない。だって、600mm相当の開放F4、ツァイスのズームレンズですよ。それだけ買ったとしても、いくらすると思います?
(機材撮影:青木明子)