見た目も実力も圧倒的な存在感を放つツァイスレンズ
レンズは、13群18枚(AAレンズを含む非球面レンズ6枚)構成のカールツァイス・バリオゾナーT*。冒頭に書いた通り、24-600mm相当、F2.8-4の光学25倍ズームは、アスペクト3:2の静止画撮影時で、アスペクト設定や撮影モードにより、焦点距離と倍率が若干変化する。たとえば、アスペクト4:3の静止画撮影時では焦点距離が27-650mm相当(光学約24倍)に、アスペクト16:9の動画撮影時では焦点距離が26-630mm(手振れ補正スタンダード)、27-890mm(手振れ補正アクティブ)、30-910mm(手振れ補正インテリジェントアクティブ)となる。
撮像素子は、1.0型の Exmor RS CMOSセンサー。有効画素数は約2,010万画素と、新製品としては控えめだが、1.0型センサーの高画質を無理なく生かせるスペックといえそうだ。
本機でもっとも気になるポイントは、レンズ性能、中でもテレ側の画質、そしてソニーセンサーの得意分野(というイメージが強い)高感度画質、さらに今回のパワーアップの肝であるAF追従連射性能といったところだろう。
まずは、レンズの描写性能から。これについては「さすがツァイス」の一言。広角側からテレ側まで、実にスッキリとした端正な描写だ。よく見ると広角側のパースに若干のクセがあるが、よほど神経質でなければ気になるほどではない。一般的なコンデジ(と比べるのもどうかとは思うが)で気になるテレ側の解像低下もほぼ感じられず、等倍で見てもなんら不満はない。ボケも、ボケ足、ボケ味ともに自然で、誇張や二線ボケのない美しい背景で被写体を際立たせてくれる。
ピント位置を等倍で切り出してみた。等倍とは思えない素晴らしい描写(この画像は拡大できません) |
高感度画質についても、ノイズの少なさは想像以上。作例を見ていただいてもおわかりいただける通り、ISO 6400でも十分に実用範囲。最新のミラーレスカメラや一眼レフ並み、あるいはそれ以上の画質といえるだろう。
初期状態におけるJPEGの画作りは、シャープネスに若干のデフォルメを感じるものの、それが「わかりやすい高画質」を演出していると思う。半面、クリエイティブスタイルが「スタンダード」(初期状態)のままだと、色はけっこう地味め。雨天や鈍曇りの屋外、あるいは室内の撮影では「クリア」を選ぶと、気持ちのいいコントラストになる。