利用が急増したワケ
急増した要因について堀清敬社長によると、都内における自治体の広域連携が実現したことが大きいという。先に挙げたように、2016年度実績をみても利用の8割は都内だ。
都内では、2016年2月から江東区・千代田区・港区・中央区の4区において広域連携が始まった。これにより、4区内のバイクポートであれば、どこでも貸出、返却が可能となり、サービス利用の自由度が大幅に向上したのだ。現在では渋谷区、新宿区、文京区も加わり、都内7区でのさらなる広域連携が実現している。新たにサービスを始めた練馬区、品川区も広域連携に加われば、利便性はさらに高まりそうだ。
「広域連携により、使える駐輪ポートが増えた。我々は"ネットワーク効果"と呼んでいるが、駐輪ポートが増えればサービス利用も指数関数的に増えていく。そうなると露出が増えて認知度が高まり、さらに利用が増える」(堀社長)と話す。
認知度という面では、世界180都市でサービスを提供するモバイクが日本での事業参入を果たし、DMM.com、メルカリの事業参入検討を公表するなど、多くのメディアで取り上げられたことも一役買っているようだ。こうした外部要因も含めて、最近は、駐輪ポートを設置して欲しいという問合せも増えているという。
さらに最近大きな伸びを示し、力を入れているのが法人営業だ。都内で350社、2000弱ほどの契約数を抱えるまでになり、利用社数は増えている。
実は、この法人利用によって、思いがけないことも起きている。それは駐輪ポート数の増加だ。かつてはビルオーナーへ駐輪ポート設置の提案をしても断られることが多かった。ところが、法人利用が進むにつれ、テナント側から駐輪ポートを設置して欲しいという声があがり、ビルオーナーが駐輪ポートの設置を実施するといった事態も起きているようだ。利便性の向上を求める声が大きくなれば、駐輪ポートも増えていくだろう。