シェイクではなくフルーリーにしたコラボ商品
コラボ商品の誕生秘話として、江崎グリコは企画当初、パナップとマックシェイクのコラボ商品を想定していたとの後日談が紹介された。江崎グリコの商品企画担当によれば、Twitterでパナップとシェイクが比較されることが多かったことが、そう考えた理由の1つだという。マクドナルドがシェイクとして今回のコラボ商品を展開しなかった理由は、おそらく「スイーツ」としての商品展開に魅力を感じたためだろう。
日本アイスクリーム協会の統計によると、アイスクリーム類の販売額・量は、ここ数年右肩上がりに増加している。アイスクリームは暑い時期の食べ物と思われがちだが、実は冬でも購入されているという実態もある。夏は気温が高いために氷菓が好まれるが、通年で人気を博しているのはアイスクリームなのだ。温かい飲み物が求められる季節になると、おやつのスイーツとしてアイスクリームの出番も増える。温かい飲み物と一緒に食べると、アイスクリームの甘さはさらに引き出される。温度は糖度の感度を高めるとも言われているのだ。
マックの提案は新たな選択肢となるか
カフェタイムのおやつとして提案された新商品マックフルーリー パナップグレープ。江崎グリコとマクドナルドが組んで生み出した「出来たてスイーツ」は、温かく、きれいになった店内でカフェタイムを過ごしてほしいというマクドナルドからのメッセージだ。モノだけを販売するのではなく、快適な店舗環境や過ごし方、利用シーンを含めた提案を増やしつつあるのが現在のマクドナルドだ。
マクドナルドの提案は、スイーツの購入先として消費者の新たな選択肢になりうるのだろうか。少なくとも、選択肢が増えることは消費者にとって利点と言える。価格もドリンクとセットで500円以内と考えられる。この価格帯は、かつてマクドナルドが得意としてきた範囲でもある。
価格は安いが質も悪い商品は、自然に淘汰される時代だ。質がよく、価格が妥当であることが消費者の選択を勝ち取る時代ともいえる。江崎グリコという強力な味方を得たマクドナルドの新しい挑戦は、11月下旬までの期間限定で始まった。