パナップとマックフルーリー、それぞれの特徴は
パナップは冷凍アイスゆえに最初は固く、食べ進めるうちに溶け出し、木のスプーンが刺さる深さが変化する。細長い容器ゆえにすぐに溶ける商品ではない。じっくりと時間をかけて溶け出していく。何かをしながら、時間をかけて食べる。少しずつ木のスプーンの刺さり具合が深くなる。年輪の数も増えると同時にソースのリング数も増える。これこそが、パナップと過ごす時間を楽しむ真骨頂だ。アイスの温度変化により、香りと甘さ、酸味の度合いも変化する。最初はくぐもっていた香りが、華やぐように変わる。温度が上昇することで、香りと甘さの感度が連動するように上がるのである。
一方、マックフルーリーはベースとなるソフトクリームにソースと砕いたワッフルコーンを混ざった状態でカップに入れて提供される。経験の浅いアルバイトのクルーでも、簡単にできる製造工程となっている。誰でも作れる秘訣は、カップのふたと謎のプラスチックスプーンにある。
カップのふたは、コーンが飛び出さないようにすると同時に、ふたのふち近くに円を描くようにカップを回すことで、絶妙の混ざり具合になるという。スプーンは食べる時にも使うが、実は攪拌(ホイップ)する羽の役目も兼ねている。四角い穴は攪拌する機械に取り付けるときの穴。カギのようなストッパーは器具に取り付けた時の固定具の役割を果たす。
その構造は、空気をいっぱいに含んだ、口どけのよいまろやかなクリームを作るために安定した高速回転に耐えうる。プラスチック製のスプーンは中空のため、アイスの冷たさが直接手に伝わらない効果ももたらしている。また適度な太さのため、攪拌時の強度を保つだけでなく、年齢を問わず持ちやすい形状ともなっている。
パナップが食べ進めるうちに変わっていくアイスである一方、マックフルーリー パナップグレープは、アイスクリームを攪拌して出来たてを提供する。最初から香りが開き、甘みと酸味のバランスを感じる温度だ。江崎グリコ監修のグレープソースを使っているとは言いつつ、パナップとは全く別の商品といっていい。