――経営から見たときに海外事業において重視しているのは、売上げなのか、収益なのか、それともブランド価値をあげることなのでしょうか。

吉田氏:海外事業においては、収益を毀損しないことが一番です。収益を取ることを優先しながら、ボリュームを少しずつあげていきたいですね。国内の法人向けビジネスの収益性があがってきていますから、海外事業は、急がずに、じっくりとやっていきたいと考えています。

――VAIOは、第3のコア事業に取り組むことを打ち出しました。ここでは、ハードウェアとソフトウェア、サービスを組み合わせたソリューション事業に取り組むとし、まずはVRソリューション事業から踏み出すことを示しました。年度内は準備室を設置し、2018年度以降に事業化を目指すとのことですが、当面はVRソリューション事業一本で進めることになりますか。

吉田氏:先ほどもお話ししたように、第3のコア事業を準備している間には、様々なアイデアが出てきました。フィルターをかけた結果が、VRソリューションということになったわけですが、これは、PC事業やEMS事業の技術やノウハウを活用したものです。

そして、それらのPC事業やEMS事業でもソリューションという動きが出ており、それをさらに進化させたものという言い方もできます。たとえば、PC事業ではセキュリティを組み合わせたソリューション提案や、学校の先生を対象にした教育ソリューション提案などがずいぶん増えてきているわけです。

VAIO全体が、ソリューション型の企業へと徐々に移行をはじめてきたことも、第3のコア事業に、ソリューション事業を位置づけた理由があります。PC事業という決められた枠、EMS事業という決められた枠のなかでソリューションを行うのとは別に、様々なソリューションに取り組んでいくのが、第3のコア事業で打ち出したソリューション事業ということになります。

VAIOは法人向けのVRソリューション事業に参入する。2017年度に準備室を設置し、2018年度に本格的な稼働を目指す

そのなかで、今後の大きな成長が見込める分野が、VRソリューションであったわけです。私も、いろいろと勉強をしてみましたが、VRの中身を知れば知るほど、将来性を感じますし、いま種まきをしておかないといけないということを強く感じました。

VRソリューションとひと口にいっても、その範囲は非常に幅広いものです。サービス分野、医療分野、製造分野など業種を問わないビジネスチャンスがあります。VRソリューション事業は面白い分野になりますよ。安曇野の本社内に、VRの体験ルームを設置します。小学生見学を含めて多くの人に体験してもらう場としたいですね。

もちろん、ほかにも有望なソリューション市場はあるのですが、VAIOのリソースでは二兎も三兎も追えませんから、当面はVRソリューションに特化してビジネスを行うことになります。ただ、先生がプログラミングを学ぶための教育ソリューションなどの展開も開始しており、これを本格的に商品化するということになれば、第3のコア事業を担う、ソリューション事業部門がこれを担当することになります。